第五の日
少女がようやく降り立った地上は、今朝飛び立った時とまるで違っていた。
木々には鳥が留まり、囀りや羽音が心地よく響き渡っていた。
広大な湖のような場所では、魚が水面を飛び跳ね、またすぐに潜っていく。
その様子は、これまでに起こったどの変化とも異なり、まさに命の躍動そのものだった。
少女は、この光景を目にし、心の奥底でわずかばかりの期待と興奮を感じた。
草木の種を啄み、さえずりながら飛び立つ鳥たち。
水底から自由に泳ぎ、水面を揺らしながら動き回る魚たち。
その光景は、彼女が元いた世界でも目にしたことのあるものだったが、今こうして見ていると、それとは全く違う感動が胸を打っていた。
時に鳥たちと一緒に宙を舞い、戯れ、水面を滑らかに触れながら魚を眺め、彼女はどこまでも世界を飛び回った。
その自由さ、そして世界に満ちる生命の力強さに、少女の心は次第に解放されていった。
これは…どこか別の世界が始まりのその時を迎えているのではないだろうか?
そして、自分はなぜかそこに立ち会っているのではないだろうか。と、
そう思わずにはいられなかった。これほどの生命の息吹に満ちた新たな始まりを、彼女はその目で見せられているように感じた。
少女は今までにない感覚で、目の前に広がるこの不思議な世界の成り立ちを、いつまでもその目に焼き付けていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます