U□Bイベントストーリー
@UNDEADBUDDY
ジューンブライド編
ローザとチューリエが探索中、急にローザの隣から姿を消したチューリエ。焦って周囲を探すと、数歩離れたショーウィンドウに両手をついて見つめるチューリエの姿がいた。溜め息をついて、カツカツとヒールの音を鳴らしながら、チューリエの元へ歩み寄る。
「こーら。勝手にどっか行かないの。何見てるの」
「……白くて綺麗。主にきっと似合う!」
本当にこの子はベティのことばっかり考えてるんだな、と思いながら、ローザもショーウィンドウを覗く。
珍しく、荒らされた形跡の無い、綺麗な白いドレスが飾られていた。大分埃被っているけれど。
「……これって、…………。ウェディングドレス」
「……?ウェディングドレス?普通のドレスとどう違うの?」
「ウェディングドレスっていうのは、結婚式の時に花嫁さんが着るドレスのこと」
「結婚式って何?」
キリがない質問責めが始まったかもしれない、などと少し渋い顔をするローザ。
「……結婚式っていうのは、……一生の愛を誓い合った二人がするもの。一般的にね。まぁ、ずっと一緒にいると決めた相手とするもの、かな。はい。もうこの話はおしまい。一応外だからね。続きはせめて帰ってからで……」
そう言いかけたところで、チューリエは店内へ急いで入っていった。「ちょっと、!」とローザが止めた束の間、チューリエはショーウィンドウの中に足を踏み入れていた。そして、ローザが言葉を口にする前に、チューリエはマネキンごとドレスを抱き締めて、満面の笑みで言った。
「あたし、主と結婚式する!!」
「…………え?」
□□□
「ローザ!今日はありがとう!」
夕焼けを見つめているローザの後ろから、いつもの服に着替えたチューリエが、両手を後ろに回しながら感謝を述べた。
「チューリエ。……どういたしまして。もう着替えたの?」
「主が、これ以上は過剰摂取で死ぬ?って苦しそうだったから!」
あー……。と呟きながら、あまり言葉の意味を理解してなさそうなチューリエの様子を見て、少しベティに同情するローザ。
「……どう、結婚式。楽しかった?」
「うん、とっても!主とたっくさん二人でお話したんだ!ローザが選んでくれたお花畑で!」
おそらく、本当の意味の結婚をチューリエは理解していない。けれど、これがチューリエにとって"結婚"と言うのなら、ローザにそれを否定する権利など無いし、する気もない。チューリエがそれで幸せなら。
「……そう、素敵だね」
「うん!あ、」
チューリエが後ろを振り向く。何かと思ってローザも振り向くと、遠くでベティが呼んでいる。多分。少なくとも、手をあげているから、そうだと思う。
「主が暗くなるから帰ろう、だって!」
「嘘、聞こえたの?」
チューリエが、ベティの元へ駆け寄っていく背中を見つめながら、ローザもゆっくり後をついていく。寂しさの残る夕焼けに背中を照らされながら、ローザは、ふぅ、と一つ。溜め息を吐いた。
★★★★★チューリエ【見て!主!あたし、綺麗かな!】
★★★★★ローザ・シルヴィーク【ブライダルコーディネーター】
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