星の魔女

諫崎秋

1:1 9:3 5:2 8:l1

この世は様々な不思議に包まれている。


 人が木を操り、森を作ったり、目に見えない何かが人に囁き、幸運を齎す。大地を操り、山を作り出す神話級の人間もあれば、また、天気を操り、人々に恵みをもたらす人間もいる、また火を操る者も。もちろん、それには及ばなくとも、大地を操る者や、天気を操る者はいる。


 そんな不思議な生き物や、魔法を操る者のいるなか、星を降らせるという魔女が、異端の魔女がいると、人々の間の噂として、最近駆け回っていた。


 人々の理から外れた、4大元素を操る魔法から、更に外れた魔法、それは、異端と呼ばれるには、十分なものだったのだ。


 見た人曰く、その魔女は巨大な星を降らせ、大きな湖を作ったという、その様は美しくも、恐ろしく、強大な力をひしひしと感じさせる圧巻の様だったそうだ。




「ほわぁーあ……………んー…………んしょっと」


女はベットから起き上がると、欠伸とともに立ち上がった。立ち上がると共に、ひらりと靡いた髪は赤白く、みずから輝いているように眩く、美しい。通った鼻筋と、絹の様にきめ細やかな肌、ガーネットの様に輝く瞳、それらをおさめた小さい顔は、芸術品の様な調和を見せている。


 今こうして、寝起きでもなお崩れないその美しさは、この女の天性のものだ。おまけに、元からスタイルも抜群なんてもんだから、世の女性からしたら嫉妬そのもの。羨ましい物だ。


女の足元に、奇妙な形をした生物がてくてくと寄り付き、女の足をペチペチと叩きながら鳴いた。


「ピッ」


 女の足元から聞こえる鳴き声の主の生き物は、なんとも言えないフォルムの生物、ピリカル。

 白くて、目がクリクリ、手足が短く、もふもふ、その上二足歩行をする、といった感じだ。

 アンバランスなフォルムが、人々の本能を刺激するのだろうか、人間の間では、ペットとしてとても人気のある生き物だ。しかし、人間にペット目的で捕獲され続けた彼らは、近年野生での数を減らしている。何処の世界も人の行動はままならないものだ。


女は鳴き声で足元に来たピリカルの存在に気付いたのか、足元を見ると表情を崩し、笑みを浮かべて居た。

すると、女はピリカルを抱き上げ、話しかけた。


「ピコちゃんは今日もかわいいねー」


「ピピピー」


ピコちゃんと言う名前のピリカルなんだろう。

ピカちゃんことピリカルは嬉しそうに謎の鳴き声を上げた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る