星の魔女
諫崎秋
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この世は様々な不思議に包まれている。
人が木を操り、森を作ったり、目に見えない何かが人に囁き、幸運を齎す。大地を操り、山を作り出す神話級の人間もあれば、また、天気を操り、人々に恵みをもたらす人間もいる、また火を操る者も。もちろん、それには及ばなくとも、大地を操る者や、天気を操る者はいる。
そんな不思議な生き物や、魔法を操る者のいるなか、星を降らせるという魔女が、異端の魔女がいると、人々の間の噂として、最近駆け回っていた。
人々の理から外れた、4大元素を操る魔法から、更に外れた魔法、それは、異端と呼ばれるには、十分なものだったのだ。
見た人曰く、その魔女は巨大な星を降らせ、大きな湖を作ったという、その様は美しくも、恐ろしく、強大な力をひしひしと感じさせる圧巻の様だったそうだ。
「ほわぁーあ……………んー…………んしょっと」
女はベットから起き上がると、欠伸とともに立ち上がった。立ち上がると共に、ひらりと靡いた髪は赤白く、みずから輝いているように眩く、美しい。通った鼻筋と、絹の様にきめ細やかな肌、ガーネットの様に輝く瞳、それらをおさめた小さい顔は、芸術品の様な調和を見せている。
今こうして、寝起きでもなお崩れないその美しさは、この女の天性のものだ。おまけに、元からスタイルも抜群なんてもんだから、世の女性からしたら嫉妬そのもの。羨ましい物だ。
女の足元に、奇妙な形をした生物がてくてくと寄り付き、女の足をペチペチと叩きながら鳴いた。
「ピッ」
女の足元から聞こえる鳴き声の主の生き物は、なんとも言えないフォルムの生物、ピリカル。
白くて、目がクリクリ、手足が短く、もふもふ、その上二足歩行をする、といった感じだ。
アンバランスなフォルムが、人々の本能を刺激するのだろうか、人間の間では、ペットとしてとても人気のある生き物だ。しかし、人間にペット目的で捕獲され続けた彼らは、近年野生での数を減らしている。何処の世界も人の行動はままならないものだ。
女は鳴き声で足元に来たピリカルの存在に気付いたのか、足元を見ると表情を崩し、笑みを浮かべて居た。
すると、女はピリカルを抱き上げ、話しかけた。
「ピコちゃんは今日もかわいいねー」
「ピピピー」
ピコちゃんと言う名前のピリカルなんだろう。
ピカちゃんことピリカルは嬉しそうに謎の鳴き声を上げた。
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