助言の終わり


 ───そうだ。それでいい。


 ───お前はちゃんと私との約束を果たしているようだな。


 ───約束を守ったあいつはこれからも重宝してやらねばな。これからも、私の力になってくれることも多いだろう。


 ───さぁ、早く来るのだ。早く来るのだ。


 ───ここまで周到に、周到に準備したというのだ。もう待ちくたびれているぞ。


 ───汝を我が前に。


 ───欲しいな



 ……。


 ……………。


 須比智邇神様の助言の言葉。

 その続きを僕は待つ。


「ふふっ、私からの助言というのはここまでかしら」


「……っ?」


 ここからだ。

 そう思っていたところで、助言が止まったことに僕は体を硬直させる。


「ほら、貴方の具現領域。貴方が新しい境地へと達しさせようとしていたその領域。それを私の方で一皮剥かせてあげたわ。もうほとんどたどり着いたようなものだしね」


 いや、違う。

 それで解決するような問題じゃないし、それで神様の力を最大限借りるなんてどうやって……?


「神社のダンジョンの最下層に降りなさい。300階層。そこが最下層よ。魔物たちは一度、軽い力で止めておいてあげる。あの甘夏の中で私もそれくらいの準備はしていたからね。じゃあ、いってらっしゃい」


 話が終わる。


「まっ……」


 それを感じた僕がほぼ反射的に声を上げる。

 だけど、その言葉は須比智邇神様には届かない。


「はっ……」


 僕が何かを話すよりも前に、自分の前に広がる景色は再び一変。

 先を見通すことの出来ない薄い霧の中から、絶望的な状況が続いていた街の状況に戻って来てしまった。

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