活躍
僕の召喚した魔物たちがアメリカ全土で大暴れし、迷宮より溢れ出てきた魔物たちを駆逐していった中で。
「よっと」
僕も僕で、戦闘を魔物だけに任せるのではなく、戦場へと降り立っていた。
「……」
自分の前に立つのは人型で、背丈としては2mほどある一体の魔物。
人型であるはずなのに、その姿は平面的で、影のような姿を持っている。
その黒色の存在は、僕に対して殺気を向けながら自分の前に佇んでいた。
「……っぶね」
そして、その次の瞬間。
僕の脳天に向かって無限に伸びるような一つの手が迫り、それを慌てて回避する。
こいつの情報は人工衛星が捉えた録画によって、ある程度わかっている。
射程無限で伸び続け、何もかもを斬り裂くような手を持っている。
この魔物には、かなり著名であったアメリカのAランク冒険者がいとも簡単に敗北させられている……感じる気配も希薄で、全容はまるで見えていないが、それでも強力だろうとの判断で僕が直々にこいつの前へと立っていた。
「舐めないで」
僕は自分へと向けられる影の魔物より伸びる手のすべてを回避していき、魔物との距離をどんどんと詰めていく。
「はっ!」
そして、様子見の意味を込め、僕は自分の手にある付喪神の刀を振るう。
「……およ?」
あくまで、この一太刀は様子見のつもりでしかなかった。
「……」
しかし、そのたった一太刀だけで影の魔物は跡形もなく消えていった。
「耐久力ないんかい」
あれだけの攻撃力を誇っていたのだからこそ、僕はこれ以上ないほどの警戒心を示していたわけだが、ここまでの髪耐久とは思わなかった。
一切の抵抗を感じられなかった。
「道理で強者の気配等はしなかったわけだわ……」
僕はそっとため息を吐き、刀を収める。
なんてことをしていた中で。
『終わったか?』
僕が耳につけていたイヤホンから、牧野さんの言葉が聞こえてくる。
「えぇ、終わりましたね。ちゃんと倒しましたよ」
それに対し、僕は返信の言葉を告げる。
遠くの地で戦っている牧野さんとの連絡手段も、当然に持っていた。
『こっちは終わった。そっちの戦いは終わったか?』
「えぇ、終わりました」
『他の魔物に関してはどうだ?』
「問題なさそうですね。チラホラと、心配なところもあったんですが、それらは杞憂で済みそうです」
思ったよりも余裕があった。
自分の魔物たちも頑張ってくれていた。
『それならよかった……よし、それじゃあ、次は欧州の方に行くぞ。アメリカはこの辺りでもいいだろう』
「え、えぇぇえ!?」
あまりにも早すぎる命令。
始めてくる海外……ちょっとだけ、観光していこうと思った僕は牧野さんの言葉へと驚きで返すのだった。
うん、次の国では行動中に出来れば観光も楽しめるように動こう。そうしよう。
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