鉄道オタクでも恋愛はできますか?

れーるマン錦

1番線 地元、鹿児島。

僕は鹿児島県・霧島市に住む、ただの鉄ヲタ・狩野忠司(カノウタダシ:Lv.16)。

顔が良いわけでも、お金があるわけでもない、平凡な人間。

鉄ヲタになったからには結婚、ひいては恋愛すらあきらめていたはずなのに...


なぜか...彼女が出来てしまった...


話は3カ月ほど前に遡る。


あの日は、倒木が発見されたとかで、列車が始発からほぼ運休だった。

普段は霧島神宮駅に7時半くらいに来る電車で高校の最寄り駅まで向かうのだが、電車が来ないことにはどうにもならない。

親も既に仕事に行っており、迎えに来てもらうことも不可能。

結局、運転再開までホームに一人ぼっちで待つことになってしまった。


霧島神宮駅はホーム屋根の柱が赤く、非常に神社っぽさを感じることができる駅だ

(その割には霧島神宮まで車でも10分ほどかかるくらい地味に遠いのだが)。

どうせ誰も居ないのだ、せっかくだし写真でも撮ろうと思い、カメラ(もちろんスマホ。一眼なんか持ってない...)を起動して構える。


だが、今日に限っていい感じの写真が撮れない。

どんな角度で撮っても、イメージと違う出来栄えになってしまう。

「あ~あ...今日はぜんっぜんダメだなぁ...」

「...あれ...狩野君...?」

この声は...と思い、声のした階段の方を振り向く。

すると、


ぱさっ...


思っていたよりも近くに立っていた幼馴染、佐々木彩佳(ササキアヤカ:Lv16)のスカートに...こう...顔がぶつかったというか...


かくして、久々に会話を交わした幼馴染に、朝っぱらから引っぱたかれるという...

人によってはご褒美とも言えるようなイベントから、今日が始まったのだった...

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