真っ白な病院の一室にある真っ白なベットのうえに、あおはいた。

 あおはそこでいつもなるべくじっと動かないでいて、おとなしくしていた。

 そらはなるべく音をたてないように、あおを驚かせようと思ってこそこそと静かに病室の中にはいったのだけど、(なんでかはわからないけど)あおにはすぐにばれてしまった。

 そら。おはよう。とやつれた顔のあおは画用紙に書いて言った。

 あおは毛糸の帽子をかぶっていて、花の模様のパジャマを着ていた。

「おはよう、あお」とにっこりと笑って、ベットの横にあるそらのための丸い椅子に座って、そらは言った。(そこがいつものそらの居場所だった)

 それから少しだけいつものようにたわいもない会話をして、(だいたいそらの失敗したお話ばかりだった)あおは疲れたのか、おやすみ、と言って眠ってしまった。

「おやすみなさい」とそらは言った。

 それからそらは眠っているあおの顔をじっと見ていた。でも、だんだんとなんだかすっごく眠くなってきてしまったので、そらはいつのまにか丸い椅子の上で眠ってしまった。(そらはあおとお外で遊ぶ夢を見た)

 ゆさゆさと揺られる感覚を感じて、そらはゆっくりと目を開ける。するとそこには起きているあおがいておかしそうにくすくすと笑いながら、もう夕方だよ、そら。と画用紙に書いてそらに言った。(そらは顔を夕焼けのように真っ赤にした)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る