空の王国 そらのおうこく

雨世界

1 君の名前は、……、そらだよ。

 空の王国 そらのおうこく


 そら ぽんこつのロボットの女の子 十歳(見た目)


 あお 言葉をしゃべれない女の子 十歳


 本編


 君の名前は、……、そらだよ。


「名前はないんです」その女の子は悲しそうな声で、泣き出しそうな水色の瞳で言った。(本当はとても長い型番の名前、あるいは数字はあったけど、その名前はあまり好きではなかった)

 そら、とあおは画用紙にそう文字を書いて言った。

「そら?」

 うん。君の名前。そら。とにっこりと笑ってあおは文字を書いて言った。

「そら。それがわたしの名前」とそらはその(可愛らしい水色の)目をぱちぱちとしながら言った。

 こうして、ぽんこつの一度返品処分をされてしまった経験のあるロボットの(見た目が十歳の)女の子はそらになった。

 あおがそらと出会ったのは偶然だった。

 あおの十歳のお誕生日にお父さんとお母さんがプレゼントにそらにお友達のロボットを買ってくれることになったんだけど、そのときにあおが選んだのが、そらだった。

 そらは前の所有者に返品されていたロボットでぽんこつという文字の書いてある看板のようなものをくびから下げていた。(値段もすごく安かった)

 だからお父さんとお母さんはもっといいロボットにしないの? とあおに聞いた。

 でもあおはこの子がいいと画用紙に文字を書いてお父さんとお母さんに言った。

 それからそらはあおの家にやってきた。そらは購入されたときにわんわんと人の目も気にしないでたくさん泣いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る