時計
天川裕司
時計
タイトル:時計
今日は1日中、家に居た。
そして晩ご飯を買おうとコンビニへ。
部屋を出る時は必ず時計を付ける。
この時計は俺にとって大事なものだ。
大事な人からもらい、形見のようにいつも付けている。
セイコーの腕時計。
(コンビニ)
「ありがとうございました〜」
そしていつものようにまた家路を急ぐ。
そのとき腕時計を見ると、
「ん、あれ?止まってる?」
夕方5時17分で止まってた。
「くっそー、まーた直さなきゃ」
古い時計だから、
これまで何度も同じような事で修理してきた。
そしてまた家路を急いだのだが、
曲がり角を曲がっても、曲がっても、
一向に自宅アパートに着かない。
「……?」
今日はちょっと疲れてるから
アパートまでの距離を長く感じているのか、
なんて思ってどんどん歩いたのだが、
「…なんだろ」
みたいな気持ちになって、辺りをキョロキョロし始めた。
「っかしィな、なんで着かないんだ…」
日常の感覚がどうもあやふやになってくる。
こんな感覚初めてだ。していると、
「あ、どうもこんばんは。またお会いしましたね」
「え、あ、こんばんは。…あ、あなたは」
さっきのコンビニの店員だ。
店員服を脱ぎ捨てて、下に着ていたTシャツ姿で
道端を歩いてる。
変だ。
「(…仕事だろうに、なんでこの人ここに居るんだ…?)」
みたいな事を少し思った。
そして少し緊張したら時計を見る癖があり、
俺はまた時計を見てしまった。
「…あそうか。止まってたんだ」
それから何となくアパートに戻りテレビをつけて、
いつものように夜の番組を見始める。
するとニュースをしていて、
「先ほど、S町の交差点前のコンビニで強盗が入り…」
銃で撃たれて死者が出ていたらしい。
死者は2名。そこの店長とお客の2人。
事件はちょうど夕方5時15分ごろに起きた。
時計は5時17分のまま止まってる。
「……もしかして2分後に、オレ…」
あの店員、店長だったんだ。
あの人もしかもしかすると、俺と同じようにして…?
動画はこちら(^^♪
https://www.youtube.com/watch?v=_fdjgFVgG8w
時計 天川裕司 @tenkawayuji
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます