未練タラタラな僕が元カノとよりを戻したいって話

@hakusui-910

第1話

「僕と付き合ってください!」


意を決して告白をした僕、水樹 雄介みずき ゆうすけは以前から面識はあったが高校3年で初めて同じクラスになった意中の相手である 上田 美紅かんだ みくの返事を高鳴る胸の鼓動を抑え待っていた。


「私で良ければ喜んで…」


この時、僕に初めて彼女が出来た。この瞬間以上に興奮して舞い上がった時はないだろう、今でもその瞬間を鮮明に覚えているのだから。

呑気にこれからデートでどんなことをしよう、どこに行こうなどと2人の生活を彩るためにあれこれと考えていた。

これから自らがどんどん破滅へと向かっていくことも知らずに…



― 5ヶ月後僕達は距離を置くことになった。


1、2ヶ月頃は順調だったのだ。

付き合った当初、彼女は過去のことでトラウマがあるらしく「付き合ってることは周りの人にあんまり言わないでね」とお願いされた。

僕は、この時トラウマを掘り返しちゃうのもしんどい思いをさせちゃうだけだしと考慮し、自分が彼氏として恥ずかしい存在なのかな…とさらに自分磨きをするために戒め、首を縦に振った。ただ、この時付き合ってないことを公表しないことで彼女のことをフリーであると考え、3年に上がって違うクラスになったことも相まって、彼女のことを好きになる人が出てきて、僕が振られちゃうのではと心配する自分もいた。


ここから分かるように僕は心配性過ぎるのだ、これがいまでも厄介な足枷となっている…


1ヶ月記念の時には温泉に行きゆっくりと時間を過ごした、部活の遠征で行ってたとこのお土産の袋の中に紛れ込ませてあった、彼女からのサプライズで「これからもずっと仲良く色んなとこに行こうね」という旨の達筆な字の手紙も貰った。

こんなにも自分のことを想ってくれているのだと改めて気付けて、感激して涙を流していた。人生で初めての嬉し泣きだったかもしれない。

ただ、彼女は吹奏楽部に入っていたこともあり高校生活最後の大会に向けて普段からも忙しいのに更にこの時期から時間に余裕が無くなった。

当然帰る時間も遅く、勉強に割く時間も必要だったため、僕と過ごす時間も減って行った。


2ヶ月目は彼女の方が忙しく、なかなか会う時間を取れないため、メッセージアプリでこれからもよろしくねと伝えあった。


彼女は周りの友達から言われるほど恋愛に対して消極的な性格で、両親が厳しい家庭というのもあり、彼女から休みの日に息抜きにどこかに出かけたり、一緒に勉強したり、通話をしたりなど誘ってくれることはほとんどなかった。

それが少し寂しくて僕は通話に誘ったり、休みの日を聞いてどうにか一緒に過ごせたりしないかなと四苦八苦し、その時点でもう付き合ってから3ヶ月が経過していた。

結局、全て断られ続け何もなすことが出来ないまま付き合ってから4ヶ月がすぎ夏休みが終わろうとしていた。

この時点で僕は仕方ないとは頭で理解はしていても、そんなに余裕が無いのかな、ちょっと電話するくらいなら大丈夫じゃないかななど彼女の負担も考えずに安易に想像してしまっていて精神的にダメージを負っていたのだろうと思う。


そんな中、この地域の高校では3年生が主体となって行う体育祭の行事があり夏休み中からその準備に僕は部活をもう既に引退していたため奔走していた。

その作業中彼女を見掛けることも当然あり話しかけたりしたいなと思いつつ、周りに付き合ってることを知られたくないという彼女の要望から話すことが出来なかった。

しかし、彼女のクラスメイトは彼女と親しげに話してたり、ゲームをしたり和気藹々として、親睦を深めていた…

また僕は心配に陥ってしまうのだ、

彼女にとって自分は隠していたい恥ずかしい存在では無いのかと、僕とは話せなくて友達のクラスメイトとは話せ、ゲームをできるほどの仲になっていることに不安を抱いた。その事がどうしても気がかりで嫌だった。


「大切にされていないのかな僕は…。」


無意識のうちにそう呟いてしまっている自分がいた。

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