6、父の日
窓、うちの小さい庭が、騒がしかった。読んでいた本と眼鏡を机に置いて、よっこらせと力を入れて立ち上がる。
妻が育てているキュウリと、ミニトマトの葉が小刻みに揺れていた。風を発生させているのはドローンのようだ。何か頼んであったかな。
からからと窓を開けると、ドローンはゆっくりと下がり荷物を下ろす、再びゆっくり上がったら次は少し加速して飛んでいった。
どこかに置いていたスマホが鳴る。小脇に抱えられる大きさ、荷物を抱えて窓を閉めた。
鳴っているのを頼りにスマホを探す、さっきまで座っていた座布団の近くにあった。
「父の日にビール」
息子からのメールだった。思わず声に出たのは、想像してなかったからだなぁ。元気にしてるか、ちゃんと食べてるか、いい人はいるか。たくさん、聞きたいことが浮かんだ。
荷物届いた、ありがとう。それだけ送信した。
たまには帰ってこい、これは……余計か?
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