第29話 第4章: 安倍政権との対立と協力
第4章: 安倍政権との対立と協力
4.1 安倍晋三との関係の変遷
石破茂と安倍晋三は、ともに自民党内で重要な役割を果たしてきましたが、二人の関係は常に協力的ではありませんでした。特に、安倍晋三が2006年に初めて総理大臣に就任した際、石破は防衛政策の専門家として評価されていました。しかし、安倍が主導した政策と石破の政策には違いがあり、特に防衛政策や地方創生に関する視点でしばしば対立することがありました。
2009年、民主党政権下で自民党が下野した際、石破は安倍に代わって自民党内での改革を訴え、政策重視の姿勢を貫くことで存在感を示しました。その後、2012年に安倍が再び総理大臣に就任すると、石破は自民党の幹事長として安倍政権を支える役割を果たします。しかし、幹事長としての石破の姿勢は党内改革や地方重視を掲げており、安倍が進める中央集権的な政策としばしば衝突しました。
4.2 総裁選への挑戦と挫折
石破茂は安倍晋三が自民党総裁として君臨する中、幾度も総裁選に挑戦してきました。特に2012年の総裁選では、石破は一度目の投票で安倍を上回り1位を獲得しましたが、決選投票で党内支持の多かった安倍が勝利し、石破は総裁の座を逃しました。これ以降も石破は何度か総裁選に挑戦しましたが、安倍が長期政権を維持する中で、石破は党内で孤立することが多く、地方の支持を集めても党内票を獲得することが難しい状況が続きました。
2018年の総裁選では、石破は再び安倍に挑戦し、特に地方議員や党員票では強い支持を得ましたが、党内の派閥力学の中で敗北を喫しました。この敗北によって、石破は党内での影響力を弱めたものの、彼の政策重視の姿勢と地方創生へのこだわりは依然として評価されています。
4.3 石破茂と安倍政権の政策比較
石破茂と安倍晋三の政策における最大の違いは、特に経済政策と防衛政策のアプローチにあります。安倍政権は、アベノミクスと呼ばれる大規模な金融緩和政策を中心に、経済成長を促進するための積極的な金融政策を展開しました。これに対して、石破はこのような金融緩和に対して慎重な立場を取っており、地方経済の振興や産業基盤の強化といった、長期的な成長を重視する姿勢を持っていました。
防衛政策においても、安倍政権が進めた憲法改正や集団的自衛権の拡大に対して、石破は一定の理解を示しつつも、より現実的な対応を重視していました。彼は「専守防衛」の立場を強調し、自衛隊の役割拡大については慎重な姿勢を取っていました。安倍が進める「積極的平和主義」と石破の現実主義的な防衛政策には微妙な違いがあり、これが両者の対立を生む一因でもありました。
総じて、石破茂と安倍晋三の政策比較においては、安倍が中央集権的な経済政策と強硬な防衛政策を進める一方で、石破は地方創生と現実的な防衛政策を重視しており、党内外で異なる評価を受けてきました。このような政策の違いが、石破を自民党内での「異端児」として際立たせた背景ともいえます。
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