永遠

ムラサキハルカ

その絵の名は

 はらはらと散る紅葉を幻視する。否、この評価は正確ではない。実像としての紅葉はたしかに存在する。この一枚の絵の中に。

 

 描かれているのは、風に巻きあげられたと思しき、赤と黄に彩られた幾枚かの葉。主題はそれでおそらく間違いないだろう。しかしながら、それだけが描かれているというわけでもない。

 夕方と思しき背景において巻きあげられる紅葉を境にして、向かって右側に赤い服に黄土色の長ズボンを履いた若い女、反対側に同年代と思しき群青色の甚平とおぼしきものを着た男がそれぞれ立っている。二人とも小さく描かれているうえに顔が描きこまれておらず、どことなく目立たない。あくまでも、紅葉を引き立てる脇役に徹しているようだった。


 絵の題は『永遠』と言う。

 

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