第7話 氷の滑り台
「ど、どうする……」
ボス
とりあえず、異空間から剣を取り出し構える。自分でも意外と様になっているのが分かる。だが、如何せんこの状況を剣一本で突破するのは無理だろう。ならば……
「鉄馬車っ!!」
ドンッ!
俺はボス
「ワオォーン!」
ボス
「統率されてんのか、こいつら……」
ボス狼の左右にいた狼が2匹襲ってくる。「うわっ」と情けない声を出しながら体が反射的に反応し、剣を横なぎに払い迎撃する。運よく1匹の鼻っ面をかすめ怯んだ隙に、ボス狼のいない方向へ逃げ出すが……
「しまっ……こっちはダメだ」
この方向には人間の遺体がある。こちらに逃げれば奴らに気づかれてしまう。いや、それを餌に時間が稼げれば…………
「うおおぉおーーー!!」
俺は包囲を突破すべく、剣を振り上げ駆け出した。ボス狼のほうへ。奴も一瞬意外そうな表情を浮かべた気がしたが、すぐに身体を沈め迎撃の態勢をとる。
「おおーー! 犬とは仲良くしたいのにっーーー!!」
つい本心が大声で漏れてしまいつつ、上段に振り上げた剣を振り下ろす。しかし、ボス狼は横に飛び、あっさり俺の剣を躱す。が、同時に……
「ソードバレットッ!!」
奴が横っ飛びから着地した瞬間、俺は異空間から抜き身の剣を高速射出した。我ながら完璧なタイミングだ!
「クッ!」
しかし、ボス
ビシャァーー
だがそれも完璧ではなく、ボス
「うおおーーーー!!」
俺はすかさず追撃を…………せず、ボス
走る、とにかく走る、だが一面の銀世界。雪に足をとられ思うほど速度が出ない。ボス
ぞわっ! 俺は悪寒を感じ、走りながら後ろを振り返る。ボス
「やばい、やばい! 防御、防御……防具っ!!
異空間から収納してある鎧や防具をとにかく全て高速射出する、アレの射線上に。
ガキィーンッ!! ガキッ!! ガガッ!
う、うまく相殺できたか!? 多少傷はおったが、とにかく動けないほどの怪我はしていない。ボス
「ソードバレットッ!」
追いかけてくる狼に向けて、剣を高速射出する。
「ギャインッ!」
6頭いたうち、5頭には命中、致命傷を与えた。 残り1頭か、異空間の残弾剣は1、後は手に持つ剣のみ。ボス
「迎え撃つっ!! 来いや……うわっ」
立ち止まり振り返った瞬間、狼に体当たりされた。あっさり吹き飛ばされ、地面に衝突する衝撃に身を固くしたのだが……
「ええぇぇ~~!! うわ~~…………」
俺は浮遊感を感じた数瞬後、氷の斜面をすごい速度で滑り落ちていった。滑り落ちながら何とか一瞬、上を見上げると、井戸の底から見上げたように、きれいな青空がそこにはあった。
「……落とし穴ぁ~、ク、クレバスかぁ~~、がばっ」
滑りながら氷の出っ張りにでも頭をぶつけたのか、俺はあっさり意識を失った。
◇
さらさらさら………ピトッ、ピトッ……さーさー
ん、ん~~、う~ん……つ、冷たい……ん、川の音……??
体の節々が痛む……もうこの歳になると、こういう痛みが中々とれないんだよな……憂鬱だぜ……
嫌々ながら目を開けるとやわらかい緑の絨毯の上に俺は寝そべっていた。
「……どこ……?」
似たようなセリフをここ最近幾度となく吐いた気がする……
俺はびっしり敷き詰められた苔の絨毯に横たわっていた。痛む体を無理やり起こし周りを見渡す。左側にはとてつもなく高い切り立つ壁がある。見上げても上空には薄く雲がかかっており、その高さを測ることができない。何か世界を区切る壁のようだ。その壁に幅3メートルくらいの亀裂が走っており、その中には氷でできた斜面が果てしなく続いている。
「氷の滑り台……ウォータースライダーならぬアイススライダーか……相当な距離を滑り落ちてきたようだな……よく無事だったもんだ」
――――――――――――――――――――
【あとがき】
古き良き異世界転生ものが好きで、書き始めちゃいました。お暇なときにでもフォローや『★★★』いただけると書き続けるモチベが爆上がりします! よろしくお願いします!
新作
「少年、森で奴隷を拾う ~拾った奴隷は狂剣聖女。聖女、転生拒否ったってよ~」
投稿してます! よろしくお願いします!
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