【完結保証】最低最悪の悪役令息に転生しましたが、10万分の1の神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら超絶パワハラ転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様〜
コレゼン
第1話 神引き悪役転生
「おいおい、嘘だろ」
鏡に映る見知らぬ男の姿に、思わず独り言が漏れた。
目覚めて自分を確認すると、そこには全くの別人がいたのだ。
しかし、待てよ。この顔には見覚えがあるな。
「これってもしかして、ブレイス・オブ・ワールドの悪役令息か?」
ブレイス・オブ・ワールド――数年前に大ヒットしたファンタジーRPGだ。
バトルシステムと豊富なスキル、その組み合わせによるゲームシステムが好評を博して、俺もめっちゃハマってた。
で、その中に、グレイス・カイマンっていう超イケメンだけど超クズな公爵令息がいる。
公爵家三男の庶子で、傲慢、強欲で、その傍若無人ぶりにゲーム中、何度モニターをぶん殴ってやりたい衝動に駆られたか分からない。
俺は天に向かって叫ぶ。
「よりにもよってなんでグレイスなんだよー!!」
どうせ転生するなら主人公の勇者のアルフレッドがよかった(遠い目)。
この転生先のグレイスはゲーム序盤で大やらかしして処刑エンドを迎えるキャラだ。
しかも処刑エンドは単独ルートじゃなくて複数ルートあったはずだから厄介である。
折角大好きなゲームの世界に転生できたというのに、いきなり処刑エンドなんて冗談じゃない!
処刑はギロチンで首ちょんぱだ。
自身の首が処刑台で転がる様子が思い浮かぶ。
冗談は顔だけにしてもらいたい。
では、それを防ぐ為にまず最初にこのゲームの特徴についておさらいしておこう。
このゲームはスキル主体のゲームシステムとなっている。
どのようなスキルが得られるかでキャラの強さが大きく変わってくるのだ。
強力なのはユニークスキルで、次に通常のスキルだった。
ちなみに、ユニークスキルは最初のキャラメインキングの時しか付与されない。
で、次はグレイスが授かるスキルについてだ。
グレイスはコピースキルを固定で授かる。
スキルがコピーできるというのは、それだけ聞くと非常に強力に感じるかもしれない。
だけど、ユニークスキルはコピーできない。
なので便利ではあるが、便利なだけの2級スキルという扱いなのだ。
後もう一つ最初にスキルを授かることができるけどそれは確かランダムだったはずだ。
と、そういうわけで早速ステータスを確認してみる。
「どうかいいスキルを引いてますように!」
俺は両手を合わせて神に祈る。
ここはバーチャルの世界ではないからリセマラなんかできない。
外れスキルを引いたらそれで終わりだ。
超激レアや激レアとは言わないから、せめてレアを引かせて欲しい。
(ステータスオープン)
心の中で念じると空中にステータスが表示された。
名前:グレイス・カイマン
年齢:16歳
身分:カイマン公爵家三男
レベル:7
体力:8
魔力:6
スキル:鑑定lv3
ユニークスキル:コピーlv1(激レア)、スキル融合lv1(超激レア)
保有スキルポイント:0
「全く、こいつもう16歳にもなるのにほとんどレベリングされてないじゃん。しかも通常のスキルは、鑑定しかまだ持ってないのか…………ってユニークスキルに超激レアのスキル融合ぉ!?」
驚愕により思わず大声が出た。
コピースキルにスキル融合か……それって確か夢の組み合わせじゃなかったっけ?
この組み合わせ、掲示板でよく話題になってたんだよな。
スキル融合が0.1%にコピースキルが1%。両方同時に引ける確率は0.001%だ。
ということは、リセマラしても10万回に1回の確率でしか獲得できないのだ。
「
俺は喜びのあまり身震いする。
神スキル構成を神引きしてしまった。
これで相当有利にゲーム世界を進めることができるはずだった。
「そういえば今日って何日だっけ?」
自室を観察してもカレンダーらしきものはない。
グレイスの記憶を探ると、凄まじい情報量が一気に――押し寄せてきた。
クラっと
その目眩は脳震盪になった時のような目眩に少し近かった。
脳内の記憶を辿ると今日の日付は皇紀1205年3月3日だった。
同時に前世でゲームを何周もしていた記憶も蘇る。
「……なるほど、今日は主人公が王女と邂逅するイベントがある日か!」
これはお忍びで視察に来ていた王女が、魔物に襲われるのを主人公が偶然見つけて助けるというイベントである。
その後王女から今後、お忍びで視察する時の護衛を頼まれるという訳だった。
このイベントをきっかけに王女との親密度が増して、後々の王女と結ばれるルートの国王エンドにも関係してくる。
ここで一つのアイデアが閃く。
グレイスは後々王女から不敬を買い、処刑エンドへと至る。
ではここで主人公の代わりに王女を助けたら?
処刑エンドを回避できる可能性が大幅に高まるのでは?
思わぬ好機にテンションが上がる。
「よし、じゃあ早速王女を助けに行くか!」
善は急げだ。
俺は部屋を飛び出した。
「ちょっと出てくる」
途中、屋敷のエントランスで掃除をしていたメイドに声をかける。
「いやぁっ! い、いってらっしゃいませ…」
メイドは俺の声に、まるで野生動物に出くわしたかのように体を硬直させた。
手に持った箒を武器のように構え、警戒心むき出しで応える。
(一体どんな反応だよ。度重なる痴漢行為でこうなったんだろうけど……嫌われているという範疇を超えて、完全に敵視されてるじゃないか)
自業自得なんだろうけど、グレイスのこの悪評もなんとかしなくちゃだめだな。
このままだったら俺がこの世界で過ごすのも居心地が悪いし。
俺はため息を小さく一つ吐く。
そして玄関の扉を開け、運命の舞台へと足を踏み出した。
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