強者との闘いを回避したいが神からの祝福(笑)のせいで避けられない!

五平太

プロローグ 神からの祝福()


私は死んだ。


昔、読んでいた漫画が四十年の時を時を経て再びアニメがリメイクされる事が発表された。


私は既に還暦を迎えているにも関わらずかつてその漫画を読んでいた時の10代の頃に戻ったのかの様に浮かれていた。


だからだろうか私は車を運転している時、目の前を逆走してくる車に直前までは気付かず追突してしまった。


私は燃える車内で朦朧とする意識の中、リメイクされる私の思い出の作品に想いを馳せながら私はその意識を手放した…はずだった。


だが私は何も見えないが何故か意識だけはハッキリとしている。

その時声が聴こえた


『目覚めたか迷える魂よ』


「貴方は…」


『儂の名などどうでも良い、貴様は死んだ』


謎の声がそう言うと何故か困惑が湧かなかった

何処か納得してしまっている自分がいた。


「ならば私はどうなるのでしょう?」


『うむ、貴様は罪も犯しておらんしそのまま生まれ変わるであろう』


『そうですか…』


私が話そうとする前に謎の声に遮られる


『まぁ待て、貴様は正直此の人生は楽しめなかったようだなだから特別に貴様が最期に願った願いを叶えてやろう』


「最期の願いですか…?」


最期に私は確かに何かを願ったが何を願ったのかは覚えて居ない。

それを聞いた謎の声は何処か愉しげな声で


『うむ、転生神の名を賭けて貴様の願い"プロレスマン"の世界に転生させてやろう』


「プロレスマンの世界に!?」


プロレスマンそれは私がちょうど10代の時期に小中高生男子の間でブームを巻き起こし日本にプロレスブームを起こした作品だ。


そしてちょうど今年の夏にアニメがリメイクされる予定だったが私はその放送前日に死んでしまった。


『不満か?』


「いいえ!滅相もない!」


私は転生神と名乗った謎の声の言葉に心を酷く踊らしていた、子供の頃、大人になっても何度プロレスマンの世界に行きたいと願っただろうか、それが叶うのかも知れないのだ!


『そうかそうかそれは良かった…だがそれだけではつまらんな…そうだの…1つ祝福をやろう』


「祝福…ですか…?」


私は息を呑む


『そうじゃ祝福だ【闘いから逃げない】それだけよ』


「か、神様1つ良いでしょうか…?」


『なんだ言ってみると良い』


私は恐る恐る神に聞く


「その祝福に何か意味が…?」


『ん?何も無いが?この祝福の効果は申し込まれた闘いは必ず受けなくてはならないだけよ』


「それだけですか…?」


『うむ、破れば死ぬだけよ』


「!?」


まさかの神の言葉に私は絶句してしまう、冷静に考えればプロレスマンの世界においてどんな闘いも受けなくていけないのはかなりのデメリットだ


「神様…効果は他に…?」


私は一種の懇願をしながら神に聞くがそれはある意味予想通りの言葉だった


『ん?他には何も無いが?』


その言葉で私は目の前が真っ暗になる様な感覚になった。


これではまるで祝福では無く呪いでは無いかっ!


そう私は心の中で叫んだが虚しいかな私は神のポチッとなと言う間抜けな声と共に意識が再び薄れていった……



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強者との闘いを回避したいが神からの祝福(笑)のせいで避けられない! 五平太 @sukemaru225

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