第3話-5
「ん……?なんだ、マスターソフィアか。なぜ邪魔をする」
やはり助けてくれたのは、銀聖騎士マスターソフィア様だったのか。
「私の部下なのです。部下が失礼しました」
マスターソフィア様は剣を仕舞い、片膝をついて頭を下げる。
「なんだと!?なぜお前の部下ここに?」
「一緒に調査をしていたのです。ウォーロックが誰に倒されたのかを。そう。あの聖剣が証拠です。私の聖剣を貸しているのです」
「たしかに。お前が持っていた聖剣だな」
待ってくれ。どういうことなんだ?マスターソフィア様はあの猛獣のことをゾグー「様」と呼び敬礼をしている。明らかに魔物のはず。それに「ウォーロックが誰に倒されたかを調査している」だと?オレが倒したのを見ていたじゃないか。どういうことか聞かなければ。体を起こし立ち上がる。
「立てるのか。ファルマー・オルレイン。さぁゾグー様に敬礼を」
マスターソフィア様から無言の圧が感じる。頭をフル回転させた。もしここで口を開けば、ゾグーと呼ばれる魔物とまた戦うことになるかもしれない。今のオレじゃ勝てない。マスターソフィア様でも勝てないかもしれない。それに信頼関係ができているようだ。その信頼関係を壊したら恐ろしいことが起きるかもしれない。
「ハッ!」
オレは剣を仕舞い、片膝をついて頭を下げた。
「ファルマーというのか。我に傷をつけるとは。本来なら生かしてはおらんが、マスターソフィアの部下なら許すとしよう。その腕をウォーロックを倒したやつの捜索に使ってくれ」
「ハッ。かしこまりました」
「今日は帰るとしよう。マスターソフィア、何か分かったら教えてくれ」
ゾグーは、大きな羽をはばたかせ、その場で大きく飛翔した。黒い影が月の光を遮断し、周囲は闇に包まれた。ゾグーは空でさらに大きく羽をはばたかせ、高く遠く闇の中へと消えていった。
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