第37話 スタート教授

■因果


ナビ:ハジメの因果関係を垣間見る


・夢と現実の交錯


ハジメは夢で見た光景を現実世界で追体験し始める。


前世で関わった人物や出来事が、現世で再び現れる。


【夢と現実の交差点】


ハジメは考え事をしながら交差点を渡ろうとしていた。


ハジメ:前世の俺は何者なんだ…


謎の老人:おい、そこの君!


謎の老人:信号は赤だぞ?


謎の老人:おい、危ない!


謎の老人:とまれえええ!!


ハジメ:ん?


横断歩道の信号は赤なのに道路を渡ろうしたハジメ。


彼は走行中のバスにクラクションを鳴らされた。


ハジメ:うわあああ!!


ハジメ:危ねえええ!!


ハジメ:どっ、どうなってんだ!?


考え事をしていたハジメは、赤信号の横断歩道を渡ろうとした。


そこを謎の老人の声掛けによって助けられる。


・因果との遭遇


謎の老人:こら!!どこみて歩いてんだ!?


謎の老人:ちゃんと前を見ないと危ないぞ、若造が!


ハジメ:す、すいません!!


謎の老人:ったく近頃の若いもんは、ながらスマホに…


ハジメ:あっ…あれ?


ハジメ:この人…どこかで見たような…


謎の老人:ちゃんと前を見ろよ、んっ?


ハジメ:あっ、夢の中で握手した人だ!


ハジメ:こんにちは、ご無沙汰してます!


謎の老人:おお!やっぱり、ハジメか!?


謎の老人:君の雰囲気が変わってたから、わからなかったよ


ハジメ:そうですか?何も変わってないような


謎の老人:君の魂は…良い旅に恵まれておる


謎の老人:使命に気づき、少しだけ大人になったな青年よ!


ハジメ:ありがとうございます!


謎の老人:ようやく…か…


謎の老人:せっかくだ、少し話すかハジメ君!


ハジメ:はい、お願いします!


ハジメ:この人は…誰なんだ?


謎の老人に助けられたハジメは、近くの公園で話すのであった。


老人の話を聞いていくにつれ彼の正体が明らかになる。


■因果の起因


謎の老人:まずは握手だな!


謎の老人:よろしく頼むよ、ハジメ君!


ハジメ:よろしくお願いします!


ふたりは再び、固い握手をかわす。


その瞬間、ふたりの握った手の周りに微かなビリビリが発生した。


ハジメはその静電気のようなビリビリに気づきはしなかった。


謎の老人:うむ…


謎の老人:念の取得はまだか…


ハジメ:見た目の割に…結構、力があるな…この人


謎の老人:さて、自己紹介としようか


謎の老人:ワシはこの年で考古学について研究しておる


”考古学とは古代の遺物や遺跡、史跡を研究し…古代人類の文化、生活の解明を試みる学問じゃ


スタート教授”


謎の老人:ついでに学校で教鞭をとっておる


教授:生徒達からは”スタート教授”と呼ばれておるが…


教授:ただの考古学好きのしがない研究者だ


ハジメ:俺は田中ハジメです


ハジメ:よろしくお願いします!


ハジメ:この老人…教授だったのか…


ハジメ:ん…考古学?もしかして…


教授:ハジメ君とは”夢の世界”で会ったな…


教授:さーて…どこまで話していいものか…


教授:未来ある若者の楽しみを奪うのは、ちと酷だな


ハジメ:はい!突然、夢の世界で…


ハジメ:デルニと一緒に現れて…


教授:ああ、そうだったな


ハジメ:何がなんだかわからなくて…


ハジメ:とりあえず、握手をしましたよね


教授:そうだったな…


教授:あの時はデルニちゃんの時間が無かったからな


教授:とりあえず握手をしただけだったか


ハジメ:そしてあなたは現実で…


ハジメ:使命に気づくと…時が来ればわかると…


ハジメ:それから…久しぶりに今回出会って…


教授:そ、そうだったな!


ハジメ:……?


ハジメ:ん?…待てよ…


教授:過去の変身は…まだバレていないようだな…


教授:あのときへの追及はやめておくか…


教授:となると、どこまで話せるか…


何かを知っている教授と何かに気づき始めたハジメの会話はつづく。


・スタート教授


ハジメ:あの、教授は考古学に詳しいと…


ハジメ:よろしければお尋ねしたいことがあって…


教授:どうした?ハジメ君


教授:ワシの知る知識でよければ…


教授:いくらでも伝授しよう!


ハジメ:過去の話だと思うんですが…


教授:うむ…なるほど…


ハジメはスタート教授に過去の記憶と前世の自分についてこと細かく伝えた。


彼の話を熱心に聞いていた教授は彼にこう伝える。


教授:それは…輪廻の変異だな…


ハジメ:輪廻の…変異?


教授:うむ…輪廻転生を繰り返し…


教授:突如、生まれた意識の変異…


ハジメ:意識の…変異…


教授:輪廻転生の中で生まれた想定外の記憶じゃ…


ハジメ:想定外の記憶!?


ハジメ:難しい言葉だらけだ…


教授:まだ早いか…


教授:簡単に言うとエラーだな


ハジメ:エラー…ですか…


ハジメ:エラーこの前も聞いたな…思い出せないけど…


ハジメ:最近、覚えなきゃいけないことだらけで…頭がパンクする…


ハジメ:ダメだ…理解が…追いつかない…


教授:今日はここまでじゃな…


教授:さて、ハジメ君!


ハジメ:はっ、はい!


教授:ワシは君の過去を全て知っておる…


教授:知りたければ、全てを話そう…


教授:ただし…冒険はつまらなくなるぞ?


教授:それでも…いいのか?


ハジメ:えっ!


ハジメ:まっ、待ってください…


ハジメ:聞くのを…やめます!


ハジメ:話を聞いてくれて、ありがとうございました!


教授:うむ…


教授:やはり…この時代か…


ハジメは教授から答えを知ることをやめ、自分で答えを見つけることに決めた。


・新時代へ


軽くあいさつを交わし、家に帰ろうとするハジメを教授は呼び止める。


教授は新時代への幕開けに大切なメッセージを残す。


教授:冒険者よ、真実はいつも傍にある!


教授:「冒険は終わりのない物語だ!!」


教授:君の健闘を祈る!


ハジメ:冒険は…終わりのない物語…


教授は笑顔でハジメを見送った。


ハジメの長く伸びた影が新時代への幕開けを告げる。


つづく。

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