第3話 チュートリアルは終わったのだ。
カニ生活 2日目――――――――
〈状態〉 ソフトシェルクラブ(鋏喪失)
〈名前〉 蟹江静香
HP 11
MP 2
筋力 1
頑強 1
素早さ 1
器用さ 1
知能 1
幸運 1
〈
――――――――――――――――
これが、蟹江静香の現状である。既に片方の鋏は捥がれ、戦う方法は噛みつく事しか出来ない。こんな難易度激高の弱肉強食ゲームに勝つことが出来るのか⁉
「セーフティエリアから出てみたけど、この地帯はマングローブって感じね」
『まだ明け方なので、比較的涼しい方ですが、冒険には最適な日和と言えるでしょう。この地点は私が記憶しておきますので、自由に探索してもらって結構ですよ。探索の範囲にもよりますが、経過する時間も考慮した上で大体、1日3回程度の領域探索を目安にしてください。3回の探索を終えると、拠点に戻るという流れでお願い致します』
「それじゃあお言葉に甘えて、自由に探索してみますか……」
――熱帯雨林
天気は晴れている。
探索判定【6】【2】
木の洞から足で探索する事一時間。そこには偶然、動物の死体が遺棄されていた。どうやら、木のツタに絡まり、身動きが取れなくなってしまったのだろう。既に腐敗は始まっており、ハエやウジが大量にわいている状態にある。通常であれば避けて通る場面ではあるが、今の姿は一般的倫理観など適応されない。
『ウジを食べましょう。できれば動物の肉も』
「うおぉおぉお! 全力で拒否したい!」
『今のあなたはカニです。環境に適応してください』
「うぉおお! 適応しますぅ!」
カニとしての本能が、食料を捕食するべく漲る。蟹江静香はウジを捕食した。
『
【6】【5】【5】
『――筋力が3増加しました』
「え⁉ そんなことある⁉ ウジ1匹だよ⁉」
『私も信じられません。運命の神も困惑しています。どうしてこの表作ったの⁉ って言ってますね……(マスク情報)』
「この動物の肉も食べてみよう。もぐもぐ」
『
【1】【6】【1】
『――幸運が2増加しました』
「どういうことなの⁉ さっきと何が違うの⁉」
『これは運命の神、やらかしてますね? 正直に言いなさい!』
(マスク情報なので詳しく言えません)
「ちなみに、筋力や幸運が増加した事で、攻撃力に変化は現れるんですか?」
『筋力が上昇する事で、ダメージが上がるのは解かるのですが、計算式がイマイチ判別しかねますね。このまま戦闘でも行ってくれれば、解析のしようもあるのですが』
蟹江静香は、この場に存在する素材を糧とし、己の存在強化に努めた。この時点で経験値も、神々による閲覧数も低いため、今だレベルの概念すら手に入れられていない状況にある。
引き続き探索が行われる。
探索判定【6】【3】
探索を進めると、またしても動物の死骸を発見した。今度は水に触れている為、小魚や小さな虫がたくさん付着している。
「動物肉?を食べまーす」
『
【4】【5】【3】
『――素早さが2増加しました』
「これは順調なのでは? この2回の探索で、力は元の4倍だし、素早さは3倍になりましたよ! これはもう、当たらなければどうという事はありませんね!」
『ここまで運がいいのも珍しいですね。本来であれば簡単にこちらが食料になってしまうでしょうに……』
ちなみに、ハエは素早く、捕まえることが出来なかった。
【マスク判定】【マスク判定】【マスク判定】
蟹江静香が夢中で動物肉? を食い漁っていると、茂みから突然何者かが飛び出してきた。
【マスク判定】【マスク判定】
それは、カニの2倍はあるであろう、大きな虫であった。顎が鋭く発達しており、6本の脚を持っている。
『戦闘開始ですね! 食事をしていた際の奇襲ですので、この場合、不意打ちの判定となります。1ターン、相手の攻撃が優先されます』
大きな虫の攻撃。
【6】【2】達成判定成功。不意打ちなので命中します。
ダメージ判定【マスク判定】【マスク判定】
大きな虫が、体当たりしてきた。蟹江静香は、かなりのダメージを負った。この攻撃により、脚が1本折れた。
「いや、シャレにならん‼ 即死寸前だよ‼ 次のターンで死ぬ‼」
『かなり相手が悪かったですね。相手の大きさが、軽くこちらの2倍あります。これでは体格差によるダメージの
「うぉおぉい! 諦めるのが早い‼ なんとかして逃げたり出来ないの⁉」
『次のターン先制が出来たら、ワンチャン逃げられます。運が悪ければ終わりです』
イニシアティブ判定【マスク判定】【マスク判定】成功。
『逃走判定成功しました』
蟹江静香は、意外にも鈍足である、大きな虫から逃げ切ることが出来た。
『やりましたね。なんとか逃げ切る事に成功しました。直前に素早さが上昇していたのが、勝負の分かれ目だったでしょう』
「私の勘だと、HPが残り2とかだと思うんだけど、安全に帰れるルートとかある?」
『お任せください。安全に拠点に帰還するルートを構築してあります』
帰還判定【マスク判定】――成功。
瀕死の状態ではあるが、蟹江静香は拠点である【大木の洞】へと帰還した。
【トピックス】――――――――
命あるものをおびやかすと、経験値を得ることが出来、その数値が一定数蓄積すると、レベルが上昇する。
――――――――――――――――
「いや、普通に死ぬんだが? こんなんで戦うとか無理だが?」
『しばらくの間は、逃げ隠れしながらレベルを獲得し、
「脚も失ったし、鋏もない。寝たら治ったりしないかな?」
『流石に無理でしょうね。再生の
「それしかないか……とりあえず、苔を食べて、水を飲もう……」
『苔を複数回摂取した事で、詳しい効果が判明しました』
【苔】――説明。
拠点に生えている清潔な苔、摂取すると1日1回、HPが【判定分】増加します。
――――――――説明終了。
苔判定【マスク判定】により、HP2増加しました。
「ほほう、複数回食べると効果が判明するのか!」
『おそらくは、食べる物の品質によって、難易度が設定されているみたいですね』
「これから毎日出掛ける前に、苔を食べよう!」
『苔の成長速度と在庫から考えて、1日1回出来るかどうかですね』
〈状態〉 ソフトシェルクラブ(鋏1・脚1喪失)
〈名前〉 蟹江静香
HP 2/13
MP 2
筋力 4
頑強 1
素早さ 3
器用さ 1
知能 1
幸運 3
〈
――――――――――――――――
【ルール】――――――――
このゲーム内において、怪我や病気などで天寿を全うすることはない。もし、命を落とした場合、ペナルティを受けたうえで、蘇生処置が行われる。
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