行きて帰りし者の物語(企画参加)

根ヶ地部 皆人

第1話

しと

ともしかばね

乗り越えて

つかんだ日々の

うつろなること


■プロット

……ぷろっと?

思い付きは「わーい。テンプレートより短い本文作ってやれ」であり、

「じゃあ川柳か短歌がいいか!」であり、

その瞬間産まれたのが「とものしかばね のりこえて」のフレーズであった。

プロットより先に天邪鬼ありき。

うん、川柳の17文字では厳しいので短歌31文字にしましょう。

次に、この前後を埋めるためにプロットを埋めます。卵とニワトリを同時に産んでいく作業です。


1 日常

 【主人公】は、【日常の世界】にいる。

 【きっかけとなる事件】が起きて、【主人公】は【目的地or目的】を目標にして【冒険の旅】を始める。


  はい。まああれだ、勇者が魔王退治のイメージでいいんじゃないですかね。昨今なら匂わせが通じるでしょう。

  つまりここは削っていい部分です。最終的に「帰還」の描写ができれば不要でしょう。

  31文字しかないので削るべきは削ります。




2 旅路

 【主人公】は、【旅を邪魔する困難】に出会う。

 【主人公】は、【能力、努力、仲間、道具】によって【旅を邪魔する困難】を乗り越え、【目的地or目的】【に到着するorを成しとげる】。


  「とものしかばね のりこえて」がここにあたります。終わり。終わるな。まだ最初の5文字が埋まってねえ!

  最初の5文字で日常を表現するのをあきらめたため、ここで使います。

  本意ではなかった、望んだ離別ではなかったことを表現する言葉を入れましょう。そうでないと主人公が鬼畜になりますので。

  「やむを得ず」「泣く泣く」あたりで響きがいいものをチョイスします。



3 帰還

 【主人公】は、【目的地or目的】から【日常の世界】に戻る。

 この【冒険の旅】によって、【主人公】は【獲得物や成長】を手に入れた。


  本文です。

  日常の描写ですので「勝ち取った平和」への言及が欲しいですが、7文字で押さえたい。

  残り7文字はオチ担当なので。「勝ち取った」「平和(日常)」を7文字であらわしなさい。


  最後7文字。オチです。関西人なので、オチは必ず要ります。「必要」とはそういう意味です。あと、侘しい感じが欲しいですね。 友人を失ってなおハッピーエンドとか嫌いです。

  短く、そしてわかりやすく。すでに損失は書いていますので、これを強調しましょう。

  奇をてらう必要はありません。先にも言いましたが、すでに損失は書いているのです。 侘しさ、寂しさ、それが表現できればいいでしょう。

  魔王を倒しても勇者の人生はつづきますが、大切な友人はもう帰ってこないことを描写しましょうか。

  ただし、寂しいことを寂しいと書くには美しくないので、別の描写をしましょう。人口に膾炙し、かつ感情表現そのものではない言葉を探して、7文字に収まるように成形します。



以上、完成しました。だいたいこれを30分前後でやっていますね。

あとから言語化するとけっこういろいろ考えています。アルコール万歳!


プロットには沿ってつくったけど、プロット埋めながら作ったわけじゃないんだよなあ。やっぱ色々邪道じゃないかしらん。

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行きて帰りし者の物語(企画参加) 根ヶ地部 皆人 @Kikyo_Futaba

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