詩集 ゆるまる時を映して
夢ノ命
第1詩 【皓月(こうげつ)の下で】
代赫(たいしゃ)がかった
雲を透いて
皓月(こうげつ)が出ている
うつろな水鏡のように
内堀の水面は
夜闇を湛(たた)えている
ふかく黒黒しい 静かさに
江湖から 物象が跡形もなく
遠退(とおの)いてゆく
御城が逆さまに
水面に映って 揺れている
其の輪郭だけ 時を遡るような
若々しい不思議さに 憑かれている
水天(うえ)を悠と
魚鱗が走る
おおぐろな
原始の巌背が水を切る
おおごい 巨鯉
巨鯉 おおごい
悠と黒く 流れてゆく
その傍の 茜色の橋の下で
白鳥が麗しく 水を辷(すべ)ってゆく
月光を浴びて 皓月(こうげつ)の下で
たましいを 銜(くわ)えこんで
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