エクスティンクション・シーカーズ

KKレモネード

プロローグ

 銀河の彼方から、青く輝く地球が静かに浮かぶ。だが、その青い星には次第に迫り来る影があった。異星の脅威が確実に地球へと近づいていた。


 光井翔太みつい しょうた。一見18歳の普通の高校生のように見えるが、その正体は異星の存在だった。彼の種族「コスモノート族」は、かつて銀河を支配するほどの強大な力を持っていたが今ではその力のほとんどを失っていた。翔太は地球に送り込まれ、普通の生活を送りながらも内に秘めた力を抱え続けていた。


 彼の心には、異星での過去の記憶が刻まれていた。


「どうして…、こんなに力が足りないんだ…」


 その言葉が彼の心の奥底で繰り返される。彼は過去の戦闘で異星の敵に圧倒され続けていた。彼の種族の力が失われる中で彼はただ無力感に苛まれていた。


 地球において、翔太は普通の高校生としての生活を送っていた。先輩である榊廉次さかき れんじ赤城遙一あかぎ よういちと共に、何気ない日常を過ごしていた。


 放課後、学校の屋上に集まる三人。


「翔太、これからどうする?」


 廉次が冷静な目で言う。


「そうだな。今日は特に予定はないけど…」


 翔太が答える。

 その時、遙一がにこやかに話しかける。


「翔太、君のことを話してるのを聞いたんだけど、最近調子はどう?」


 翔太は少し苦笑しながら答える。


「まあ、なんとかやってるよ」


 すると突然、空が暗くなり、異星からの脅威が地球に近づいてくる。


『始まりだ。各員、配置につけ!』


 三人の耳に付いた通信機から黒澤一狼くろさわ いちろうが指示を出した。彼は「G.A.S.T」の隊長であり、冷静かつ強力なリーダーシップを持っていた。


 翔太の目が真剣な表情に変わる。


「これが…始まりなんだな」


 廉次が翔太の肩に手を置く。


「翔太、覚悟はいいか?」

「任せてください!」


 翔太は力強く答えた。

 遙一も続ける。


「僕たちは仲間だ。どんな敵が来ようと、一緒に戦うぞ」


 異星からの脅威「ザイドーン族」が地球に侵攻を開始する。G.A.S.Tのメンバーは準備を整え、戦いに挑む。


 『迎撃を開始する!』


 黒澤の声が響き渡る。翔太は、異星人たちに立ち向かう決意を新たにする。


 戦いが始まり、G.A.S.Tのメンバーが一丸となって敵に立ち向かう。地球の未来が彼らの手に託された。


 街の上空で、黒い雲が渦を巻くように広がっていく。雷が鳴り響いて空気が一気に冷たく感じられる。その中心に、不気味な異星の戦艦が現れた。


 黒澤一狼の鋭い声が無線越しに響く。各地に配置されたG.A.S.T.のメンバーたちは、それぞれの位置で緊張した表情を見せた。


 翔太、廉次、そして遙一も、その戦艦を見上げていた。


「まさか、こんなにも早く奴らが来るとは…」


 翔太が歯を噛みしめる。


「心配するな、翔太。俺たちがついてる」


 廉次が冷静に言う。


「しかも僕たちは訓練を重ねてきたんだ。簡単に殺られないさ」


 遙一は自信満々に拳を握る。


 翔太は仲間たちの言葉に一瞬安堵し、そして決意を固めた。


「ああ、俺たちでこの地球を守るんだ」


 その瞬間、ザイドーン族の戦艦から無数の戦闘ドローンが放出され、街へと襲いかかってきた。


「奴らが来たぞ!全員応戦準備!」


 黒澤の命令と共に、G.A.S.Tの特殊部隊員たちが一斉に動き出す。


 翔太もまた、その中に飛び込んだ。戦闘ドローンが街中に飛び交い、ビルや道路を破壊していく。翔太は迅速に敵の攻撃をかわしつつ、拳を強く握りしめる。


「この星を…この場所を、絶対に守ってみせる!」


 彼の灰青色の瞳が、微かに光を帯びる。その瞬間、翔太の内に眠っていた能力が目覚め始めた。周囲の空間がわずかに震え、翔太の体から薄い光のオーラが放たれた。


「翔太、力を使うのか?」


 廉次が隣で驚いた声を上げる。


「まだ完全には覚醒していないけど、このくらいなら…!」


 翔太は前に出ると素早く敵のドローンを蹴り飛ばす。爆発音が響き渡り、周囲に炎が広がった。


「お前もいつかその力を完全に取り戻すんだろう。今は無理をするな!」


 廉次は翔太の背後で、彼の援護をするように次々と敵を打ち倒していく。


「おいおい、僕も負けられないだろ?」


 遙一が笑みを浮かべ、銃を構えて正確にドローンを撃ち落としていく。


「やっぱ、こういうのは慣れてるぜ!」


 戦場は混沌と化してG.A.S.T.のメンバーたちは奮闘していた。だが、敵の数は一向に減る気配がない。むしろ、次々と増援が現れて圧倒的な数で街を覆い尽くそうとしていた。


 その時、空がさらに暗くなり、一際大きな影が現れた。


「来たか…あいつが!」


 翔太が緊張した面持ちで空を見上げた。


 異星の戦艦から降り立ったのは、ザイドーン族のエリート戦士。身長は翔太の倍以上で全身を黒い鎧で包み、目には冷酷な光を宿していた。彼は静かに周囲を見回すと翔太たちに視線を向ける。


「チキュウの抵抗は無意味だ。すぐに終わるだろう」


 ザイドーンの戦士は不気味な声で告げた。


「そんなことはさせない!!…俺たちが止めてみせる!!」


 翔太は拳を握りしめ、全力で前に出た。


「翔太、行くぞ!俺たちであいつを倒す!」


 廉次が横から駆け寄り、遙一も笑みを浮かべながら「一気に片付けようぜ!」と共に突進する。

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