第6話 隠された空間

「隙間に入るんだ!」ルーカスは即座に判断し、ヨハンとアナを促した。彼らは暖炉の裏にあるわずかな隙間に身体を滑り込ませていく。隙間は狭く、3人が身を寄せ合うのがやっとだった。闇に包まれ、息を潜めて状況を見守る。追手はすでに廃屋のすぐ外に迫っている。隠れ場所が見つかるかどうか、それは一か八かの賭けだった。


狭い隙間の中で、彼らの呼吸音だけが静寂を破る。ルーカスは脈打つ心臓の音を感じながら、耳を澄ませた。ドアが激しく揺れ、次の瞬間、外から兵士たちが廃屋に突入してきた。彼らの足音が床を軋ませ、廃屋の中を徹底的に探し始めるのが聞こえる。


「隠れているはずだ!隅々まで探せ!」指揮官の声が響き、兵士たちが部屋中を物色し始めた。物が倒れる音や、足で床を蹴りつける音が次々に響き、緊張感が彼らを包み込む。ルーカスは拳を握りしめ、わずかな光も差し込まない隙間の中で、彼らの動きを感じ取ろうとしていた。


ヨハンは肩の傷の痛みに耐えながら、微動だにせず待ち続けている。アナは銃を握りしめ、いつでも応戦できるようにしているが、狭い隙間ではそれも困難だ。彼らは一切の物音を立てないよう、息を潜めていた。


兵士たちが暖炉の周りを歩き回る音が聞こえる。緊張がピークに達し、全身に冷や汗が流れる。兵士たちの一人が暖炉に近づく気配を感じた瞬間、ルーカスは全身が凍りついた。今、暖炉の隙間に気づかれてしまえば、すべてが終わる。


兵士の手が暖炉の石を探り始めた。ルーカスは息を止め、アナとヨハンも緊張に固まっている。その手が石の一つを動かし始めた――次の瞬間、外で大きな爆発音が轟いた。兵士たちが一斉に驚きの声を上げ、外へと走り出す。「外で何かが起きたぞ!」


彼らは一瞬の混乱に乗じて、廃屋の外へと向かった。ルーカスたちはその音を聞きながら、心の中で安堵と焦りが交錯する。今が逃げる唯一の機会かもしれない。だが、まだ外の状況はわからない。爆発音が聞こえた方向に他のレジスタンスの支援が来たのか、それとも罠か――。


「今だ…」ルーカスは小声でつぶやき、アナとヨハンに視線を送った。彼らはうなずき、そっと隙間から這い出し、暖炉の裏から静かに廃屋の外へと身を乗り出す。息を潜めながら、彼らは隙間から外の様子を伺った。


外は混乱の中にあった。数名の兵士が何かに気を取られて走り去り、廃屋の周辺は一時的に無防備な状態になっていた。爆発が起きた方向には煙が立ち昇っている。しかし、それが何かはわからない。


「行くぞ、今が唯一のチャンスだ。」ルーカスは低く言い、アナとヨハンと共に廃屋の影を使い、静かに外へと忍び出した。彼らは兵士たちの視界に入らないよう、森の中へと身を潜めていく。地面には雪が積もり、その冷たさが彼らの足元に伝わった。しかし、今はその寒さすら感じる余裕はなかった。


彼らは森の中をさらに奥へと進む。追手から距離を取るため、できる限り静かに、素早く移動する。後方で兵士たちの怒声が聞こえ、再び廃屋に戻ってきたのだろう。だが、彼らはすでにその場所を離れていた。


数分間の逃走の末、ようやく彼らは小さな岩陰にたどり着き、そこで一息をついた。ヨハンは肩の痛みからか、浅い呼吸を繰り返している。ルーカスは周囲を確認し、兵士たちが追ってくる気配がないことを確かめた。


「大丈夫か、ヨハン?」アナが心配そうに問いかけると、ヨハンは痛みに耐えながら頷いた。「なんとか…だが、長くは持たないだろう。」彼の声には疲労がにじんでいた。


「まずは安全な場所を見つけなければ。」ルーカスは言葉を選びながら話し続ける。「追手を完全に振り切ったわけではない。ここで立ち止まるわけにはいかない。」


その時、遠くから犬の吠え声が聞こえた。兵士たちが追跡犬を使っているのだ。彼らの位置はすぐにでも特定されるかもしれない。ルーカスは焦りを感じながらも、冷静に次の行動を考えた。


---


読者様向けメッセージ


ルーカスたちは暖炉の隙間に隠れ、辛くも兵士たちの追跡をかわすことに成功しました。しかし、森の中に逃げ込んだ彼らの危機はまだ続いています。追跡犬の吠え声が遠くから聞こえ、彼らは再び追われる身となるでしょう。ここからの行動が、彼らの生死を決定する鍵となります。


あなたの選択によって、彼らがさらなる危機を回避できるかどうかが決まります。次の一手を選び、彼らを導いてください。


選択メッセージ依頼


「ルーカスたちは次にどうすべきか?」


1. 森の奥へとさらに逃走し、追跡者を振り切る

- 追跡犬から逃れるため、森のさらに奥へと進む。危険を冒してでも、追手の目を逃れる唯一の方法かもしれない。

2. 岩陰に身を潜め、追跡者をやり過ごす

- 今の場所で静かに隠れ、追跡者たちが通り過ぎるのを待つ。リスクはあるが、動かないことで見つかる確率を減らせるかもしれない。


ルーカスたちの運命を決めるのは、今夜20時まで。あなたの選択が彼らの未来を切り開く。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る