はいしんしゃ

@Hanuru7

第1話 私

 私「こんにちは、肉じゃがさん!忍びさん!ポンスさん!ラベンダーさん、皆さん今日も来てくれたんだね!ありがとう!早速投げ銭もしてくれて嬉しいよ〜私のハート受け取ってね!」


 肉じゃが「今日もかわいいね!ご飯はちゃんと食べたかな?」


 忍び「今日もフルーツ食べた?」


 私「いつも心配ありがと〜、今日もフルーツの盛り合わせを食べたよ!」


 ・・・


 私は、こんな風に1日が始まる配信者である。そして普通の家庭に生まれた普通の女の子。現実の人生はうまくいってない。3年間普通にOLをしていたけれど、社会が息苦しくなったんだ。精神を病んでしまい、二ヶ月前に退職をした。転職活動も何回かしてみたけど、冷たい大人たちが多くてなんでここまでして社会に入らないといけないんだろうと苛まれていた。


 そんな中、私の唯一の癒しが配信する時なんだ。


「あんたまだ寝てるの!早く起きなさい!」

 と強い口調で母は私の部屋に入ってきた。


「起きてるってば!」

 私はそう言い返す。

 いつも怒るのは母だった。その点、父は何を考えているのかわからない。

 いつも寡黙に新聞を読んで、最近はスマホで動画を見ているようだ。

 きっと本当に呆れてしまったのだろう。


 ・・・


 私「皆さんは、しんどい時どんなことをして過ごしているのかな?」


 忍び「どうしたの?何かあった?」


 肉じゃがさん「うーん、温泉に行くかな〜」


 ポンス「僕も知りたいな〜」


 私「うーん、なんか私は精神が弱いせいでまともに社会で働くことができなくて、人間失格なのかなとか、両親に悪いなって思ったりしてしんどい気持ちになったんだ、、温泉にでも行こうかな〜!」


 忍び「そうか〜、人間失格って大袈裟だよ!生き方なんて人それぞれなんだ!無理して働かなくてもいいんだよ。自分のペースでいこう!」


 肉じゃが「熱海の温泉とかとてもいいよ〜」


 ポンス「女の子は仕事選ばなければ楽々に稼げるじゃーん!それにかわいいんだからさ!」


 ラベンダー「初めてコメントします。私には息子がいます。笑顔でいてくれれば私はとても幸せです。だから悪いなんて思わなくていいですよ。ご両親もきっとあなたを守りたいと思っているはずです。つい私にも息子がいるのでコメントさせていただきました。」


 忍び「ラベンダーさんがコメントしてる!」


 ラベンダー「それと、ポンスさん、その発言はあまり良くないと思います。」


 ポンス「えー、励ますつもりがー、すみませんでした」


 私「皆さん、ありがとう、、私はやっぱり皆さんがいるからここまで生きていけているんだと思う!本当にありがとう!今日は早いけどここまで!またね〜!」


 ・・・


 配信を終えた私はなんだか涙が止まらなかった。

 こんなに温かい言葉をもらえるなんて思っていなかった。

 少しだけ勇気が湧いたんだ。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

はいしんしゃ @Hanuru7

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ