進路調査

ごま油を引いたフライパン

進路調査

 朝、すっかり秋の形を成した雲を窓越しに見上げながらクーラーの涼しさに感動する。残暑というのはまさにこういうことなのかもしれない。

 いよいよ高二の夏休みが終わり、受験という逃れられない憂鬱との戦いが近づき始めるこの時期だが、多くの高校二年生は、受験なんて露知らず、まだまだ浮かれ気分である。

 例えば教室の後ろでたむろしている彼ら。不真面目と言う訳では無いが、少なくとも、受験のことを意識しているとは思えない。

 しかし俺は違う。

 とまでは言わないが、受験に備えるべく、夏休みの間から少しずつ勉強を始めたこともあって、受験への身構えをある程度はできていた。

 もちろん、友人との予定というのはあったし、二泊三日の広島旅行にだって行った。ただそういった予定の間に勉学を積み重ねただけである。

 これを、世の中の人間は真面目だと言うのだから不思議なものだ。

 さて、そんなわけでやってくる受験だが、その前に進路調査というのがある。先生へ、自らが目指す進路を表明する割と重要なものだ。一年の最終学期と、二年の夏休み前に行ったのだが、今回の進路調査は過去二回の進路調査とは違って、ほぼ明確な進路を提示する必要がある。無論、その後変えることはできるし、それを咎める人も居ない。悪いわけでもない。

 ただ、ここである程度自分がどのレベルを目指すかが決まる。そういうものだ。

 というわけで、俺は先週配られた進路調査の紙をリュックの中に納まっているクリアファイルから取り出した。

 学校特有の再生紙に印字された記入欄を見ながら僕は考える。

 あの子はどこを目指すのだろうかと。

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