タンバリン鳴る

知らない朝にタンバリン鳴る。ひとつ音が叩かれるたび、明るさが広がる。明るみが広がるにつれて知らない朝はいつもの朝のような顔になる。

窓を開ける。深く息を吸い込めば、空気の中に懐かしい匂い。ひとつ季節が巡ったと、鳥のさえずりが目の奥で鳴る。タンバリンの音はすっかり満ちて、ふんだんな光、細かいシンバルの音がきらきらと輝いている。

いつもの朝は、しかし新しい朝なので、それにふさわしい新しい歌をうたう。息継ぎをするたびにその歌は懐かしくなり、やっぱり季節は巡ったのだ、煙のような匂いを鼻の奥に感じる。

新しい歌を引き継いで、鳥が高く鳴く。それを雲が吸い込んで、たなびく。

知らない朝は賑やかになり、もうずっと知り合っているような、そんな気安さで一日をはじめる。よろしく、とつぶやくとシャランと小さくシンバルが鳴る。

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