第56話絶対に当たる占い師ファントム

 暗黒マーケットの食べ歩き、珍品物色はかなり楽しいな。


「あむあむ……この浮遊綿あめは非常に美味いな」

「でしょー? 絶命ポップコーンの爆発触感も中々いけますよ」

「どれどれ……ほぅ、爆発で一気に香ばしさが倍増するのか。確かに面白い」


 ただ爆発する度、両頬が膨れるのは嫌だけどな。

 

「新魔王様! こちらへ!」


 何やら暗いテントだな。

 仕切り布があって、中が一切見えないぞ。


「こちら、必ず当たると評判の占い店です!」

「ほぅ、必ずか。占わせるか」

「あ、ワシもワシも」


 占いの雰囲気漂う内装に、幻想的な色付き煙が昇ってるな。

 フード付き黒コートが独りでに浮遊し、魔の者の手だけが見える。

 

「占い師のファントムさんです♪」

「……何を占いに来たんデスカ」

「「そりゃ勿論! 今日の相性占い♪」」

「あーいつもの……少々お待ちになって下サイ」


 皿に黒い羽根を燃やし、立ち昇る煙を眺めてるな。

 何も分からんが、何か見えてのか。


「結果が出まシタ……まぁ、いつも通りラブラブデスネ」

「やったぞ骨美!」

「そうですねデュラさん♪」


 陽気に腕を組んで踊りだすな。

 次は私の番だ、避……右腕……貴様がなぜ先に座っている!


「何を占いましょう……って、魔王様デスカ?」

「お、流石ファントム君♪ ワシだって分かるんだね」

「えぇ……今日の占いで魔王様が来ると出たノデ……」

「ひゅー! 当たってるー♪ じゃ、早速なんだけどー妻って何時頃帰ってきそう?」


 サキュバスクイーンが魔王城にいないのか?

 別居中で離婚間近なのか?

 何だかワクワクしてきた! 

 さぁ、早く結果を教えろ!


「サキュバスクイーン様は……一週間後に白夜リゾートからお帰りになりマス」

「一週間か……魔花園直せないかも!?」


 旅行で留守にしてるだけか。

 期待外れも甚だしいが、右腕にはさっさと避けて貰う。


「どけ」

「のわぁ?! ちょ、ちょっと勇者様! 蹴り落とさないで下さいよ!」

「次口開いたら、歯を腐らせる」


 最初からグチグチ言わず、場所を譲ればいい話だ。


 さて、何を占って貰うかは既に決まってるぞ。


「貴方様は何を占いマスカ……」

「私が人間界、魔界、天界を統括できるかどうかだ」

「……え?」

「聞こえなかったのか?」

「い、いえ……そうではなくてデスネ……」


 何々? 

 定期的に自身の未来を占い、あらゆることに備えていると?

 で、ここ数年の占い結果が、人間の女によって、世界の均衡が一変する、だと?


「に、人間の女が現れるのが、今日で……一か月内に、全世界を統括すると……占いに毎回出てマシタ……」

「ほぅ……最高の占い結果じゃないか」


 統括は軽く見積もって数年の予定だった。

 一か月内ならば、魔界と天界へ行く手段も、近々に分かるという事だな。

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