女勇者、引退したい魔王に代って、魔王になる

第42話オートマタと交流

　やはり右腕を椅子にするのは止めて、色白の場所を陣取るか。

　ほぅ……中々快適な椅子だ。

　長時間座ってられるリラックス性を実感できるな。

　温い感じも中々に心地いいな……。

　ふぁ……あくびが出るな。

「あ、あの……僕の椅子……」

「私を椅子代わりに座れ」

「え……い、いや……し、失礼じゃ……」

「早く座れ」

「にゃ！？」

　私にかかれば色白なんて羽毛のような軽さだ。

　すっぽりと私の胡坐椅子に納まったな。

　お、色白の肌が赤くなってるぞ？

　非常に可愛らしい、ふふ。

　ほれほれ、後頭部に胸を当ててやるぞ？

「あばばばば？！」

「震えたらくすぐったいぞ」

「しゅ、しゅみましぇん……」

　ゾクゾクするじゃないか……。

　もっと弄って弄って、更なるゾクゾクを私にくれ！

「あのー勇者様。ワシはどうすれば？」

「知らん。私の時間を邪魔するな」

「えー……」

「も、元魔王さん。そこに椅子があるので使って下さい」

「オートマタ君！　君は天使だ！」

　いや、魔の者だろう。

　天敵に例えるなんぞ、最悪過ぎるだろ。

　さっさとパイプ椅子に座っておけ。

　さて、親睦を深めるゲームはなんだろうか。

「色白。何をチョイスしたんだ？」

「一応、簡単なパーティーゲームです」

「ほう、ナイスチョイスだな」

「えへへ、ありがとうございます」

　素直に喜んで、ちゃんと感謝もできるとは……。

　コイツはどんだけ可愛いんだ？

　やわモチの頬っぺたをツンツンしてしまったぞ。

　コントローラーを手渡され、右腕の分も渡されたが、床に置いてやった。

「ちょ！　わざとですよね！　まったく……」

「ワクワクしてきたな！　早く始めるぞ！」

「じゃ、じゃあスタートしますね」

　ほぉ、敵対してる勇者と魔王がパーティーゲームするものか。

　キャラは十種類。

　勇者一同か、魔王幹部達のどれか一人を各自選択するらしい。

「色白は魔王か」

「ゲームの中だけでも、威厳あって強くなりたいんで……」

「可愛い奴め。なら、私は魔王幹部の魔女だな」

「ワシは格闘家でいいや」

　格闘家は無視でいい。

　存分に親睦を深めようじゃないか！

　色白が選んだパーティーステージは、初心者ステージか。

　サイコロの大きい出目順で順番決めか。

　結果、私が一番手、色白が二番手、格闘家が三番手、人数合わせのモブキャラが最後になった。

「ざっくり説明しますが、エーンを稼いで、魔石を魔神王から買ったり、ミニゲームを勝ちまくったりすれば大丈夫です」

「金持ちになって私腹を肥やし、他の奴らを力でねじ伏せろ、って事だな」

「そ、ソウデス」

「どんな時でも脳筋ですね」

　右腕の奴め……コントローラの線を抜いて、あたふたさせてやる。