第4話 チクチク

 私の頭にグスタフの記憶が流れ込んでくる。私の胴体を掴み上げるその大きな腕に手を添えた。

「大丈夫よ、グスタフ……もう大丈夫」

 そう語りかけると、彼の上がっていた肩の力がゆっくりと抜けていく。

「リアナ達のこと、また助けようとしてくれたんだよね。でももう大丈夫よ。リアナももう、無事だから……」

 浄化の光は彼に受け入れられたかのようにして、先ほどよりも素早くその巨体を取り込んでいった。そしてだんだんと呼吸が緩やかになり、紅く染まった瞳から光が消えていく。

 ようやく終わったかと思うと、彼は突然勢いよく立ち上がった。

「えっ!?」

「聖女様!」

 ほんの一瞬だけ、目に光が戻った。そのまま私を持ち上げると、体の向きを変えてから、ゆっくりと私を肩に乗せる。

 そして何かを見つめながら、今度こそ完全に浄化され、立ち上がったまま眠りについた。

 顔を上げて彼の視線を辿ると、その先には昇ってきた朝日を背負う大きなお城が見えてくる。ところどころ崩れてはいたけれど、確かにかつての面影と懐かしさが感じられる。

 私はあそこへ、帰らねばならない。

 そう思いながら、私は大人になってまで「たかいたかい」をしてくれる彼の方へともたれかかった。


「やっぱりヒゲ……チクチクするね……」


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