あの日の金メダル

椎葉伊作

【1】

 ……ねえ、かける


 ううっ……。


 どうしたの、翔。泣いてるの?


 うっ……ううっ……。


 あはは、そっか。そうだよね。まさか、僕にまた会えるなんて、思ってなかったんでしょう?


 うっ……ううっ……ぐすっ……。


 ふふ……。僕ね、ずっとここにいたんだよ。あの時から、ずっと。


 うっ……ぐすっ……ひぐっ……。


 僕ね、ずっと、待ってたんだよ。ずっと、翔に会いたかったんだよ。


 ううっ……お、俺っ……俺っ……。


 泣くなよ、もう翔は立派な大人なんだからさ。僕と違って。


 ううっ……あっ……あゆむっ……。


 ありがとう、翔。死んだ僕に、会いに来てくれて―――。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る