第4章 - 王都への道と新たな仲間

魔物を倒してから数日が経った。ディアブロとレイナは、村を後にし、次なる目的地へと歩みを進めていた。村人たちは感謝の意を込めて、さまざまな物資を彼らに提供してくれた。特にカイルはディアブロに対して深い尊敬を抱き、「いつか自分もこの世界を守る力を手に入れたい」と誓った。


「ディアブロ、次は王都を目指しましょう。王都には多くの情報が集まり、あなたの力に関する手がかりも見つかるかもしれません。」


レイナの提案に、ディアブロは少し考え込んだ。この世界に転生してから、彼はずっと自分の力と、それがどうこの世界に影響を与えるのかを考え続けていた。王都に行けば、もしかしたらその答えが見つかるかもしれない――そう思ったのだ。


「わかった。王都へ行こう。ただし、俺たちが目立ちすぎると厄介なことになるかもしれない。特に俺の力を誰かに知られると…」


「大丈夫よ、ディアブロ。私があなたを守るし、必要があれば魔法で隠れることもできるわ。」


旅の途中、二人はとある森を抜けようとしていた。森は薄暗く、木々が覆い茂っており、まるで異世界の影がそのまま残っているような不気味な雰囲気を放っていた。しかし、その森を通る道が王都への最短ルートだったため、二人は進むしかなかった。


「レイナ、この森は何か異様だな…何か感じるか?」


ディアブロが周囲を警戒しながら尋ねると、レイナは真剣な表情で頷いた。


「確かに。この森には強い魔力の残滓があるわ。しかも、普通の魔物のものではない…もっと古い、強大な存在のものかもしれない。」


ディアブロはレイナの言葉にさらに警戒を強め、剣を手に取った。その時、森の奥から微かな光が見えた。人影らしきものが動いている。


「誰かいるぞ…」


二人は光の方へと慎重に近づいていった。そこにいたのは、一人の女性だった。彼女は長い銀髪をなびかせ、鋭い瞳で周囲を見渡している。彼女の手には大きな槍が握られており、まるで戦士のような雰囲気を漂わせていた。


「誰だ、お前たちは?」


彼女はディアブロとレイナを見て、鋭い声で問いかけた。ディアブロは一瞬だけためらったが、すぐに答えた。


「俺たちはただの旅人だ。この森を通り抜けて、王都に向かっている。お前は何者だ?」


女性はしばらく二人を観察していたが、やがて槍を下ろし、少し緊張を解いた。


「私はエリス。この森に住む魔物を狩っている戦士だ。この森は危険だ。お前たちのような旅人が入ってくる場所ではない。」


「魔物狩りか…それなら俺たちと目的は同じかもしれないな。俺の名はディアブロ、そして彼女はレイナ。魔物が出るなら、俺たちも手を貸す。」


ディアブロの提案に、エリスは少し驚いた表情を見せたが、すぐにそれを押し隠した。


「…強い自信だな。だが、この森に潜む魔物は、普通のものではない。古代の呪いを受けた存在だ。お前たちが戦えるかどうかは…見てみないとわからない。」


その瞬間、森の奥から不気味な音が響いた。木々が揺れ、何かが近づいてくる。エリスが槍を構え、ディアブロも剣を抜いた。


「来るぞ…」


現れたのは、巨大な狼のような姿をした魔物だった。しかし、その体は腐敗しており、まるで死者が蘇ったかのような異様な気配を放っていた。その眼は赤く輝き、凶暴な咆哮を上げながら三人に向かって突進してきた。


「レイナ、下がれ!エリス、連携しろ!」


ディアブロはすぐに動き出し、エリスもディアブロに合わせて槍を振るった。魔物の鋭い爪がディアブロを狙ってくるが、彼はそれを軽やかにかわし、逆に剣で反撃する。


「うおおおっ!」


ディアブロの剣から黒い炎が迸り、魔物の体に深い傷を負わせた。しかし、魔物は倒れず、再び立ち上がって襲いかかってくる。エリスも槍で応戦し、二人は次々と攻撃を繰り出す。


「この魔物…不死か!」


ディアブロが焦りを感じたその時、レイナが後方から呪文を唱え始めた。


「ディアブロ、少しだけ耐えて!古の魔法でこの魔物を封じるわ!」


ディアブロはその言葉に頷き、魔物の猛攻を受け流しながら時間を稼いだ。エリスもまた、ディアブロに合わせて攻撃を続ける。やがて、レイナの呪文が完成し、彼女の手から強大な光の魔法が放たれた。


「封印せよ、古の呪い!」


光が魔物を包み込み、そのまま地面に沈めていく。魔物は咆哮を上げながらも、力を失い、ついに完全に消滅した。


静寂が戻り、ディアブロは深く息を吐いた。


「なんとか倒したか…」


エリスは感心したようにディアブロを見つめた。


「お前たち…ただの旅人ではないな。見事な戦いだった。」


「俺たちはこの世界の危機を止めるために戦っている。それがただの旅人かどうかは、どうでもいい。」


エリスは微笑み、槍を肩に担いだ。


「面白い。私もお前たちに加わろう。この森にはまだ他にも強力な魔物がいる。そして、お前たちの力には興味がある。」


こうして、ディアブロとレイナは新たな仲間、エリスを得て、さらに王都への旅を続けることになった。魔物との戦いは激しさを増していくが、彼らはそれに立ち向かいながら、この世界に隠された真実を追い求めていく。

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