第12話
蜘蛛の脚のようなものを倒した直後の話である。
「この喋る魔物のドロップ品が脚ごとってどういうことよ?」
そう、ドロップ品が蜘蛛の脚だったのである。
使いようはいくらでもあるが、一番は壁を登れるようになるポーションが作れるということだろう。
ポーションなんて使わなくてもスキルがあるから不必要なのだが。
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アリアは『神羅の森』の中を探索しながら朱雲竜と話していた。
「なんだったけ?日本の蜘蛛の妖怪」
「土蜘蛛とかですか?」
「あれ?倒されたはずじゃ?」
「え?でも倒されたはずじゃ?」
「たしか封印されただけでまだ地中にいるっていう噂ですよ?」
「まじか⋯」
土蜘蛛の話をしてると鍵を作れる分のファイアードレイクの素材が集まった。
「よーし!『錬成』」
できたのは黒炎で覆われている鍵だった。
「コレを、扉にはめ込めば⋯」
はめ込んだ瞬間、周囲の景色が変わった。
「転移魔法か⋯感覚が嫌いなんだけどなぁ」
呑気なことを考えながらアリアは転移した。
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アリアたちは無事に深層第一層に転移した。
「おろろろ、気分悪い⋯、おろろろ」
「どうやら、到着できたようですよ?」
「そうみたいだね⋯うぷっ」
「薬いります?」
「大丈夫、『星屑の保管庫』にあるから⋯」
「ならいいですけど⋯」
朱雲竜と話していると早速魔物を見つけた。
ネームドモンスター、狂乱のシルフ。
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《三人称視点》
そう言われるようになった由来は約一ヶ月前、S級の探索者パーティー『神竜の翼』が『神羅の森』に潜ったときだ。
深層第一層に現れた、狂乱のシルフ。
『神竜の翼』は果敢に挑んだが、結果はパーティー壊滅。
1週間後、回復した『神竜の翼』はギルドに特徴を報告した。
その特徴は、
風属性の精霊で、どんな攻撃もすべて跳ね返ってきてしまうこと。
その姿はまるで大精霊の『シルフ』だった。
らしい。
シルフがアリアを睨みつける。
アリアは狂乱のシルフと対峙する。
アリアが嵐風を発生させる。
シルフがその魔法を跳ね返す。
アリアが嵐黒炎にして跳ね返す。
シルフの腕に黒炎が当たる。
シルフの腕が燃える。
火を消そうと嵐霊を呼び出すがアリアに倒される。
アリアが刀を抜いた。
「我流魔剣術・乱斬り・黒炎」
刀身がシルフの身体に当たる。
その瞬間、シルフの全身が燃え、アリアに倒された。
シルフは死ぬ間際、アリアはいなくなった仲間の横顔とシルフの横顔が重なった。
いや、重なってしまった。
アリアは急いで回復薬を取り出す。
だが、間に合わず。
アリアはシルフの手を握った。
「ごめんね、気づかなかったとはいえ、攻撃してしまった⋯回復させるから、ちょっとまってて」
シルフは回復を拒否した。
そのままシルフは消えていく。
アリアは泣きつく。
シルフは最後にアリアに一つのアイテムバッグを渡した。
だが、それを渡した直後、ドロップ品を残して消滅してしまった。
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