25 あの頃は
生ぬるくなったビール。慣れ親しんだ海風。外の空気を引きつれ戻って来た奴の背中を思い切り叩く。「お前は昔っから泣き虫だったが、一番根性があっただろう」途端に奴は泣き出し、しかし前を向いていた。振りかぶった手を止め、あの頃からずいぶんと大きくなった背中を軽く叩いた。
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