12.喪中見舞い
=== この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 =========================
夏目房之助・・・有限会社市場リサーチの会社の実質経営者だった。名義代表者は、妻の夏目優香。
夏目優香・・・有限会社夏目リサーチ社長。
夏目朱美・・・有限会社夏目リサーチ副社長。
笠置・・・夏目リサーチ社員。元学者。元経営者。
高山・・・夏目リサーチ社員。元木工職人。
榊・・・夏目リサーチ社員。元エンパイヤステーキホテルのレストランのシェフ。元自衛隊員。
久保田管理官・・・警視庁管理官。テロ組織対策室をサポートしている。
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==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
※夏目リサーチは、阿倍野元総理が現役時代に設立された会社で、警視庁テロ対策室準備室が出来る前に出来た。スーパーや百貨店の市場調査会社が、「隠密に」テロ組織を調査するのに適していると、副総監が判断し、公安のアシストとしてスタートした。
夏目リサーチは、民間の市場調査を行うのと併行して、危機的状況を調査する、国家唯一の調査機関である。
※喪中見舞いとは、「喪中見舞い」とは、「喪中はがき」を受け取った際に、お悔やみの気持ちやご家族への慰めや励ましの気持ちを込めて、はがきや手紙をお供え物や香典を贈ることです。
お花はお線香や提灯と並んで「仏様へのお供えの基本」とされており、仏様に美しいものをお供えするという理由から綺麗なお花を手向けるようになりました。お花が枯れるまでの変化が人の一生を表しており、ご先祖様は物を食べられない代わりにお花の香りを楽しまれるとされています。故人への感謝やご遺族への心の癒しにお花は欠かせません。
午後4時。築地。
肉の仕入れに行った榊は、どこかで見かけた男を見て、反射的にスマホで撮影した。
ある店の人と親しげに話している。
それから、郵便局で、思わぬ人と会った。夏目朱美である。
「あら、榊さん。現金封筒?」「ああ。副社長。小学校からの友人のお母さんが亡くなりましてね。先日、『喪中葉書』が来たんですよ。いつも年賀状貰ってるし、と思って出してくれたんでしょう。それで、香典を現金封筒で送ってあげようと思いましてね。」
「それなら、榊さん、香典を送るより、いい方法があるわ。」
朱美が案内したのは、朱美の友人が経営している花屋だった。
「宅配便で送れるわよね。」朱美はアレンジメントして貰った花を榊が書いた現金封筒の住所宛に宅配便で送るように手配した。
店を出た朱美に榊が代金を払おうとすると、「ボーナスよ、少ないけど。年下の私に教えを受けるのは嫌かも知れないけど、『香典返し』は告別式や亡くなった親族の家に訪問する以外の場合は、難しくなるでしょ。「喪中見舞い」の葉書を出す人もいるけど、お悔やみの気持ちやご家族への慰めや励ましの気持ちを込めて、お供え物や花を贈るのも一つの方法なの。線香や提灯を送るのも悪くないけどね。年末にならないように、12月中旬に送るのがベスト。」と朱美は言った。
「知らなかったなあ。 副社長、よくご存じですね。」「実は、花屋でバイトしていたことがあるの。今のお店。へへ。」と、舌を出して笑った。
午後9時。浅草寺裏手のビル。夏目リサーチ社分室。
榊は、食材を冷蔵庫に入れると、システムを動かして、自分の取った画像と映像をアップロードした。
食材で下ごしらえしている内に答が出た。
「やっぱり。」
「ナニがやっぱりなの?」と、これまた早期出勤の高山が言った。
画面を覗き込むと、『元』指名手配の絹田敏夫が映っている。
画面下の注意書きに『指名手配されたが、羽田空港から那珂国行きの便に乗って逃走、那珂国側は引き渡しを拒否した』と書いてある。
「時期から言うと、コロニーで大変だった時期だね。空港警察も簡単に諦めたから責められたよね。」
絹田の相手している男は、30分後、判明した。『顔マッチング』システムが『矯正』した上で運転免許証データから割り出した。
午後10時。
出勤した笠置が事情を聞き、久保田管理官に連絡した。
「了解。その新子(あたらし)栄蔵宅にガサ入れしよう。匿っているかも知れない。」
その後、榊は朱美に電話をした。
「昼間はありがとうございました。実は『ひろいもの』がありましてね。」と、絹田のことを話した。
すると、横から優香と夏目が出てきて口々に言った。
「ウチの高齢者は働き過ぎ。」「喪中葉書も喪中見舞い葉書も出したく無いわね。」
オーブンの音が鳴った。
今夜は『エビドリア』と『エビピラフ』だ。
―完―
特命機関夏目リサーチ クライングフリーマン @dansan01
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