9.活動家
====== この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 =========================
夏目房之助・・・有限会社市場リサーチの会社の実質経営者だった。名義代表者は、妻の夏目優香。
夏目優香・・・有限会社夏目リサーチ社長。
夏目朱美・・・有限会社夏目リサーチ副社長。
笠置・・・夏目リサーチ社員。元学者。元経営者。
高山・・・夏目リサーチ社員。元木工職人。
榊・・・夏目リサーチ社員。元エンパイヤステーキホテルのレストランのシェフ。元自衛隊員。
久保田管理官・・・警視庁管理官。テロ組織対策室をサポートしている。
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==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
※夏目リサーチは、阿倍野元総理が現役時代に設立された会社で、警視庁テロ対策室準備室が出来る前に出来た。スーパーや百貨店の市場調査会社が、「隠密に」テロ組織を調査するのに適していると、副総監が判断し、公安のアシストとしてスタートした。
夏目リサーチは、民間の市場調査を行うのと併行して、危機的状況を調査する、国家唯一の調査機関である。
午後9時。浅草、浅草寺裏手のビル。夏目リサーチ社分室。
笠置が「あっ!!」と叫んだ。
出勤してきた高山と榊が言った。
「出勤時間、早めます?リーダー。」と、高山がからかった。
「御免、気になってね。あんたらこそ・・・10時でいいのに。」笠置は照れて言った。
笠置の言葉に2人は笑った。
「時給じゃないからね。まあ、10時にしましょう。」
「それで、何を驚いていたんです?」
夏目リサーチの仕事は、端的に言えば、メンテナンス監視。
スイッチを押せば、自動的にシステムが起動し、マッチングを始める。マッチングは、色んなデータを組み合わせて、どのデータとどのデータが一致するかを確認、新規データのみをデータベースに書き込んで行く。例えば、初めてのマッチングで笠置一郎の住基データが運転免許証データと一致すれば、新規データとして保存、次の日に同じ組み合わせでマッチングデータとして保存されていれば、保存しない。新たに個人データとして、お名前カードのデータがマッチング要素に加われば、新規データとして保存、履歴フラグデータも出来る。データベースに保存されるデータは全て圧縮・暗号化されており、膨大なデータの『宇宙』が出来ないようになっている。
そして、エラーが出れば、笠置達が対処し、対処仕切れなければ、EITOか警視庁電算室の専門家(元ハッカーが多い)が対処する。
そして、2番目の仕事は、夏目リサーチ本社を通じて依頼のある照合だ。
今日の依頼は、夏目房之助警視正からだった。
先頃、結婚し(事実婚だが)新居を構えた増田隊員とMAITO隊員の中島隊長を訪ねて大文字伝子が訪問したが、その時ボヤ騒ぎがあった。
ただの放火でないと判断したのが、夏目警視正だった。
防犯カメラに映っていた放火犯と思しき女性の映像が送られて来たが、笠置は、どこかで見かけた気がした。
そこで、インターネット検索で『MAITO 隊長』で調べたら、New Tubeの動画が出てきた。
動画では、MAITOの新隊長としてテレビ1のインタビューを受けている中島が、1人の女性観客に詰め寄られていた。
趣旨は、MAITOのオスプレイが能登地震の救援活動に行った筈なのに、EITOの応援に行った、というものだった。
確かに、中島のオスプレイがEITO大阪支部の大阪支部のオスプレイが向かった火災現場に駆けつけているが、それは能登から給油に一旦帰ったオスプレイでは無かった。
中島は、違う部隊だと説明した。
中島の部隊は能登に向かう途中だった。
兵庫県知事の依頼で、EITO大阪支部が向かったオスプレイより先に到着することが出来たので、消火弾を落して能登に向かったのだ。
中部方面隊伊丹駐屯地から近かったから、寄道したのだ。
その女性は、納得行かない様子だった。
その女性が、中島のアパートに放火。しかも、時限装置つき。
夏目警視正は、それが怪しいと感じた。
大文字伝子が追い掛けた男も、この女性も操り人形だったか。
笠置は、『別動隊』と呼ばれるマッチングシステムに女性の映像から抽出した静止画像をアップロードした。
大文字伝子や増田はるかを狙った犯行では無かった。
真犯人、いや、黒幕は、このNewTubeの映像を観て、女性を利用したに違い無い。
女性の名前は、運転免許証データから判明した。最近のデータだ。外国人切り替え運転免許証データだ。日本の運転免許証データには無かった。
ハイン・ケイコ。阿寒国系の活動家だ。
笠置は、夏目警視正にメールをした。
すぐに、夏目警視正からテレビ電話が繋がった。まだEITO東京本部にいるようだ。
「なるほどな。久保田管理官には、私から連絡しておく。走って逃げた男は闇バイトだったが、ひょっとしたら、怨恨に見せかけた犯行かも知れん。ご苦労様。」
いい匂いがしてきた。
今夜は串カツだ。
「ソースの2度漬けは禁止ですよ。」榊は胸を張って言った。
「ウイ、シェフ!!」と、2人は言った。
夜は長い。まだ始まったばかりだ。
―完―
※このエピソードは、「EITOエンジェルズ総子の憂鬱(仮)66」と、「大文字伝子の冒険354」とリンクしています。
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