7.ヤバイ展開
====== この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 ================
夏目房之助・・・有限会社市場リサーチの会社の実質経営者だった。名義代表者は、妻の夏目優香。
笠置・・・夏目リサーチ社員。元学者。元経営者。
高山・・・夏目リサーチ社員。元木工職人。
榊・・・夏目リサーチ社員。元エンパイヤステーキホテルのレストランのシェフ。元自衛隊員。
久保田管理官・・・警視庁管理官。テロ組織対策室をサポートしている。
===============================================
==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
※夏目リサーチは、阿倍野元総理が現役時代に設立された会社で、警視庁テロ対策室準備室が出来る前に出来た。スーパーや百貨店の市場調査会社が、「隠密に」テロ組織を調査するのに適していると、副総監が判断し、公安のアシストとしてスタートした。
夏目リサーチは、民間の市場調査を行うのと併行して、危機的状況を調査する、国家唯一の調査機関である。
※このエピソードは、「EITOエンジェルズ総子の憂鬱(仮)61」と連動しています。
午後5時。神保町。
笠置は、馴染みの古本屋で、入手出来たと連絡があったので受け取りに行って、帰り道。昔からある食堂『とんかつ屋』で、トンカツを食べ、出た所で榊に声をかけられ、クルマに同乗して浅草に向かった。
「さっきね、カップルが喧嘩しているのを見て、昔を思い出しちゃったよ。」
「奥さんとの喧嘩ですか?」
「いや、それならいいんだけどね。相手は女だったが、死んだ女房じゃない。ああ。もう、その頃はもう、女房は死んでたな。私が経営していた会社の取引先の会社のおんな社長だ。今のカップルの女と同じ事を言った。『冗談じゃないか。冗談も判らないのか。ちっちゃいな』。普通は、男が使う卑怯な台詞だけどね、『男勝り女』は、男に媚びない代わりに男みたいな言い草をする。その女社長は、知人の紹介で取引していたんだが、ある日、うちをやめて他に乗り換えようとしていた。私は、縁を切った。会社を譲った副社長が取引を再開しても文句を言わない、と約束をしてね。副社長に会社を譲る書類にサインした後、家に帰る気になれず、ホテルに泊まった。なかなか眠れないから、バーでバーボンを飲んだ。やけ酒だよ。その時、カウンターの隣にいたのが、夏目さんだった。何となく馬があってね。時々遭っている内、身分を明かした上で、『手伝ってくれないか』と打診された。女房も私も、元々東京の人間だ。帰るのは自宅しかないが、虚しいだけだから、引き払おうかとは思った。夏目さんは、何度も大阪に来ては、私を口説いた。根負けして、大阪を引き払った。」
「それが、夏目リサーチ分室、ですか。」「うん。榊さん達と出逢えて良かったよ。そうそう。EITO大阪支部の総子ちゃんも、新幹線で出逢って、久保田管理官に推薦したらしい。まさか大文字伝子の従妹とは知らなかったって。」
「夏目さん、スカウトマンなんですね。そうだ。笠置さん。さっき、エンパイヤステーキホテルの、元部下のコックに遭ってね。違う業種に転職したんだけど、元上司に誘われてる、って言って、私と別れて水道橋のホテルに入って行ったんですよ。一緒にいる連中を見て、思わず撮っちゃった。」
午後10時。浅草、浅草寺裏手のビル。夏目リサーチ社分室。
笠置以下、古参のグループが作業に入った。
作業。それは何か、マッチングシステムによる、『面割り』だ。
表向きの市場調査は、『通行人調査』だ。カウンターをカチカチ。あれである。
このとき、隠しカメラで通行人を撮影している。
遠隔操作の為、カチカチのバイト君には分からない。
会社に着くと、榊は、撮影したデータをシステムに入れ、夜食の準備を始めた。
決められた行事ではないが、榊が自分から言い出してやり始めた『夜食』。
待機時間が長いし、3人ともテレビも観ないし、ネット動画も必要がないと観ない。
どうせなら、くつろぎながら、仕事しようということになった。
突然、赤いランプが点滅し、アラームが鳴った。
笠置が確認すると、前科者データに該当するデータが榊のアップロードしたデータにヒットした。
このシステムの特徴は、複数の『案件』のデータをマッチング出来ることだ。
高山が、久保田管理官に連絡した。笠置は、急いでメールでデータを送った。
「管理官。エンパイヤステーキホテルの宴会部長と会っているのは、『つばくろの党』の党首と、元方正会の幹部です。政界とも反社とも繋がりがあるってことです。そして、3人目。どのデータともヒットしません。」
「やはり、ただの食中毒事件じゃなかったんだ。了解した。で。今日は、どんな料理かね?」
「トンテキです。」
―完―
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます