虹のたもと
にゃぁ
第1話 知り合い
「みぃ、るいちゃんって子が着た《ついた》にゃ。」
サバトラのモモっちが私に声をかけてきた。
「るいちゃん?あぁ三ツ輪さんちの子か」
小屋の外に出ると2本足で立って辺りを面白そうに見回している、るいちゃんがいた。
「久しぶりだね〜、ミツから連絡はきたよ〜、めっちゃ泣いてた。」
私はキョロキョロしていた、るいちゃんにそう告げた。
「あぁ、うん、泣いてるだろうね〜。ミツは泣き虫だからさ。だって最初の頃、ちょーっと屋根の上に登っただけで泣きながらウロウロしたし、ちょーっと天井にいって隠れてただけで、泣きながら探していたからね!」
るいちゃんは楽しそうに思い出を語ってくれた。
「いや、飼い主としては心配するでしょ。まぁ毎回泣くのはどうかと思うが。そして毎回いなくなった〜って電話されるほうの身になってくれ。」
「あはは、ごめんごめん。ミツの反応が毎回楽しくて。
しかもさ、ネズミとかセミとか枕元にプレゼントすると、顔が引きつってるのがわかるの〜。」
私としては遠慮したい内容だな。
なんとなく、上記の内容でわかってくれたかもしれないが、
私が話している相手は、人間ではなく"猫"。しかも友達に飼われていた猫だ。
私はここで水先案内人として働いて?いる。
なぜクエスチョンマークが付くのかって?
それは私は別に死んでここにいるわけではなく、実際には寝ている時に
ここに連れて来られるからだ。しかも無給金、本人の意思確認無し。
理由だけは教えてもらえたが、「よく朝寝や昼寝、夕食後も寝ているからちょうどいい」そうだ。
うん、まぁ、よく寝てるけどさぁ。だって眠くなるんだもん。
もちろん、知り合いではない
こういう場所はいくつかあるそうだ。
そして必ずしもここに来れる訳ではないらしい。
「さて、思い出話もいいけど、仕事もしないと。」
私は小屋から紙をもってきて、るいちゃんに色々質問をしてそれを書いていった。
「さて、質問は以上です。この内容でいいかな?よかったら、こことここに肉球押して〜」
「はいにゃ」
るいちゃんがポンポンと紙に肉球を押す。
そして片方を小屋の引き出しにしまい、もう片方をるいちゃんの額に当てた。
その紙は一瞬光り、るいちゃんの額にするっと吸い込まれていった。
「じゃ、手続きは以上です。みんなと仲良くね。」
るいちゃんは4本足で勢いよく走り去っていった。
ここは虹のたもと、もとい、虹の橋のたもと と呼ばれている処。
飼い主や待ち人を待ちながら、痛いこともお腹が空くこともなく、
みんな仲良く待ち人を時折見守りながら楽しく過ごせる場所。
いつかまた会える愛しい人を待つ場所である。
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