じいちゃんの話

天使 ゆがら

第1話



 突然ですが、だいぶ前に亡くなった私のじいちゃんの話をします。

 というのも何故、祖父じいちゃんにスポットを当てたのかと言いますと、今になって考えたら物凄くクセがスゴかったんじゃないかなと思えてきたからです。

 今回はそんな祖父じいちゃんのエピソードをいくつかお話し出来ればと思います。



【エピソードその1・独自の造語】


 祖父は普段から謎の造語をよく言います。これから何かをするとき、例えば外出、食事、入浴等に『ぴっけちゃっかちゃん♪おーらどこどどっとどん♪』と軽快な口調で行動を開始します。意味は解りません。ただ、出てくるタイミングを考えると行動開始の合図と捉えていました。機嫌が悪いとき以外ほぼ毎日耳にしたので、最もポピュラーでレア度は★☆☆☆☆


 次に、外出先で駐車場が混んでいたりした場合に放たれるのが『いーしきのーぺぱーい』からの『いーのぱーい』これはふたつでワンセットのため、どちらか片方はなかなか聞けない。素直にいっぱいと言わないのかな?

 混雑時という条件が揃わないと発動しないので、レア度は★★★☆☆といきたい所だけど、やたら混む場所に行くので必然的に聞く機会が多いので★★☆☆☆とします。


 次に、廊下で進行を妨げたとき。リズミカルに『早く行け早く行けほっほっほっ♪』これは祖父がトイレや部屋に移動しようと廊下に出たときに誰かがいて前が詰まると発動。車に例えると、あおり運転のような認識で間違いない。

 祖母と鉢合わせするとよく聞くので、レア度は★★☆☆☆

 それにしても『ほっほっほっ』いるのかな。


 続いて『にーなーにーなーぽんぽこぽん♪』これ、昔のおもちゃでサルとかがシンバル持って叩くやつがあって、現代の人はあまり存じないと思うけど、あの賑やかな音を無理矢理に言語化していたようです。祖父にとっておもちゃネタは他になく、それの一点突破。子供がいる場では昭和生まれだろうと平成生まれだろうと関係なくやります。

 小さい子供がいるとき限定のためレア度は高めで★★★★☆といきたい所だけど、先程も話した通り子供さえいれば必ず発動するので★★★☆☆にしときます。


 次に、寝るとき毎晩欠かさず『はーて寝ーべ寝ーべ寝ーべべ~寝ーべべ~のべ♪』と言って寝室へ行く。祖母はそれを聞いて頻繁に『黙って寝れねぇのかよ』ってツッコんでた記憶もあり、レア度は★☆☆☆☆


 それから、毎回同じ音のオナラをよくする。「ブー」とか「ブリっ」が相場だと思うけど、「ビィーッ」ってかんじの音。それを誰かが指摘すると必ずこう言います。『屁はして良し嗅いで良し、腹の苦痛を出して良し』幼少期の私は何かのことわざと勘違いし、学校で知ってることわざを発表しましょうって授業のときに発表してしまい大恥をかきました。アホですね。

 レア度は★★☆☆☆。お陰でBeという文字が目に入るとあのオナラの音を鮮明に思い出してしまう破壊力。


 他にも


「ガソリンスタンド」→「ソリガンタンドス」「落っこちちゃった」→「落っちゃったっこ」「早く寝ろ」→「早くろ寝」

「降りろ」→「降ろり」

「自動車」→「ずんどうしゃ」

「電車」→「でんぐるま」

「箸」→「32(さんじゅうに)」

「トイレ」→「うんこ場」

「みっともない」→「げーぶ悪い」


 まだまだあったと思うけど、すぐに浮かんだのはこのぐらい。これらはブレることなく毎回使っていたけど、他人の前では使い分けていた。もちろん当時の私はそれに慣れてしまって気にも留めなかった。



【エピソード2・足の指の挟む力がヤシガニ級】


 祖父は毎晩飲んだ後は1時間ほど横になります。膝を曲げて仰向けで寝ているときは注意が必要。足から数十cm範囲が攻撃対象となります。その領域に座っていると、足の親指とその横の...人差し指?を使って腕を挟まれるけど、これがまぁ痛い。小っちゃく摘ままれると皮膚がちぎれるんじゃないかってぐらい。一度挟まれるとなかなか取れないし、そのままにしておくともう片方の足を使いその挟んでるとこの少し上の部分を挟まれます。手の指を最初に挟まれると手の甲→手首→前腕→肘→二の腕→と、放っておくと最終的に耳たぶまで挟まれます。試しに鉛筆を挟ませると......折れはしなかったけど、相当な力でした。心残りはリポDの蓋が開けれるか実験したかった。

 余談ですが祖父の息子、私の叔父も互角の力を持っていました。てゆーか親子揃って挟むんだ!?血は争えないですね。

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