第15話
心身共に疲弊していった飛鳥は、三日後に飛鳥たちは解放された。
しかし、それを機に和音との関係がぎくしゃくしてしまう。
気まずさなのか申し訳無さなのか、和音はあまり飛鳥と話さなくなってしまった。
しかも東堂が、和音を飛鳥の部屋から移動させてしまったのだ。
これで、和音との関わりがほぼなくなる。
飛鳥は、これはもう和音を諦めろと言われているのではないかと思った。
和音の迷惑になると考え、飛鳥は彼への想いを消し去ろうと決意。
閉じ込められていた三日間、その中の一日のみ政忠は飛鳥に会いに来ていたらしい。
しかし店の者に「本日は店に出ておりません」と言われたという。
解放されたその日、政忠が店を訪れた。
これまで頻繁に通い詰めていた政忠は、会えなかった時間を補うように飛鳥を激しく抱いた。
政忠の膝に跨り、腰を上下に動かしながら喘ぐ飛鳥。
「あっ……はっ……はぁっ……」
何かを振り払うかのように、一心不乱に政忠を感じた。
飛鳥は政忠の体に翻弄される。
「可愛い。可愛いよ、飛鳥くん」
そんな言葉を囁かれ、飛鳥はますます政忠の体に執心する。
政忠の体に溺れていれば、和音のことを忘れられるのではないかと思ったから。
でも、飛鳥の頬を涙が伝う。
政忠との行為に没頭すればするほど、彼の脳裏に思い浮かぶのは和音のことばかり。
諦めようとすればするほど、和音への想いは増していく。
和音を密かに愛しながらこの世界にいることは、飛鳥にとって辛いもの。
しかしこの遊郭に縛られている間は、和音と会わないことはないかもしれない。
飛鳥はそれに耐えることができるのだろうか。
物置部屋から解放されてからしばらく経ったある日、宗士が飛鳥に声をかけてきた。
「なぁ。お前に教えたいとっておきのことがあるんだ」
そう言う彼の表情は、何かを企んでいるに違いなかった。
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