第8話

六畳間には床の間もあり、落ち着いた雰囲気がある。


「何でこんなところに?」


「いいから、俺に従えよ?」


飛鳥が素早く二度頷くと、和音は飛鳥を畳の上に座らせた。


「さっきの続きがしたい。あいつらが部屋に戻ってきたら、まずいだろ?だからここに来た」


なるほどそういうことかと、飛鳥は合点がいった。


祭りが終わり、いつ男娼たちが戻って来るか分からないのだ。


ここに今いること自体が、いけないこと。


しかし、飛鳥は抗うことができそうになかった。


飛鳥自身も、続きがしたいと思ったから。


「うん、いいよ。分かってる……」


飛鳥の返事を聞くと、和音は両手で飛鳥の頬を挟み軽く唇を触れ合わせてきた。


そして見つめ合うと、再度唇を触れ合わせてきたのだが、今度はすぐには唇を離さなかった。


和音との口付けは気持ちが良い。


蕩けるような口付けに、飛鳥は虜になり抜け出せなくなってしまいそうだ。


舌を絡め合い、濃密な口付けを続け飛鳥は溺れそうになる。


「あっ……ふっ……」


どちらのものとも分からない唾液が、飛鳥の口の端から零れ落ちた。


それだけ、飛鳥が和音との口づけに没頭しているということ。


しばらく唇を貪り合った後、和音は唇を移動させ、首筋に吸い付いてきた。


「ん……」


思わず飛鳥の声が出る。


すると、和音に畳の上に押し倒された。


頬や体は既に熱くなってきているが、心のどこかで和音を欲していた。


飛鳥に跨った和音は、飛鳥の胸元をはだけさせる。


多少の恥ずかしさがありつつも、飛鳥は次に進んでいく期待感も感じていた。


「綺麗な肌だな」


和音が飛鳥の胸元を優しく撫でる。


それだけの行為にも、飛鳥の体は疼いてしまう。


「あっ……」


「何だ、これだけで感じているのか?」


そう問われ、一気に飛鳥の顔が真っ赤になる。


「そ、そんなことないっ」


飛鳥が気恥ずかしさに否定すると、和音は「ふ〜ん」と言いながら胸の右側にある蕾に指で触れてきた。


そして、指の腹で捏ねてくるので、飛鳥は甘い吐息を漏らす。

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