【BL】遊郭☆香煌楼(こうこうろう)の恋人
実果子
第1話
その昔、女が男を待つ遊郭があったが、男が男を待つ遊郭もあった。
幕府に統治されていた時代、国内に存在した男娼の集まる遊郭。
そんな遊郭では、様々な恋模様が展開される。
その欲望渦巻く世界で、男娼をしている男がいた。
十六歳の飛鳥は、いつの頃からか同じ人物の夢を頻繁に見る。
夢に出てくるその男は知人というわけでないし、どこの誰だか分からない。
けれど、密かにその人物に会ってみたいと思うようになっていた。
そんなある日、飛鳥は父親から部屋に呼ばれた。
部屋へ行くと、父親は辛そうな表情でこう言ったのだ。
「申し訳ない、士郎。お前には男娼になってもらう」
「え?だんしょう?何ですか、それ?」
飛鳥の本名は、史郎という。
十六歳だった飛鳥には、何のことだか分からない。
「その……男の相手をするんだ」
相手をすると言っても、無垢な飛鳥には意味が分かるはずもないだろう。
理由を問うと、父親はこう言った。
「うちの商いの状況が芳しくなくてな。多額の借金を抱えてしまったんだよ」
父親は先代から続く米問屋をしており、羽振りが良かった。
しかし、競合する他の問屋に負けてしまったらしい。
「嫌です!僕はここを離れたくありません!」
飛鳥が拒否をしても、「お前に稼いでもらう以外にないんだよ」と言われてしまう。
自分には選択する権利もないことを知り、飛鳥は気力を失くす。
その日の夕飯に、母親がさめざめと泣いていたのを飛鳥は忘れない。
遊郭に売られる日、朝から母親は泣いていた。
「士郎!」
走り寄ってくる母親に、飛鳥は「母上、達者で暮らしてください」と声をかける。
そして父親と共に、これから身を置く遊郭へと旅立った。
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