第2話

 試験官が前に立ち言う。


「これから行う第二試験では、君たちが実際にダンジョンで戦う能力、判断力、そして仲間との連携力を試す。今から三人チーム組み、試験会場内に設けられた模擬ダンジョンで、与えられた課題を時間内にクリアできれば合格となる。試験時間は60分。最下層部、最後の部屋にいる魔物を倒すことで出現する魔石を手に入れ、戻ってくることが目標だ」

 

 みな、初めてのダンジョン探索により緊迫とする。


 俺もだ。


 ダンジョンなんて、この目で実際に見たことなどないのだから。


 隣に立つ佐藤が言う。


「魔物と初めて戦うってのに、これが試験ってやばいよな」


「だからって言い訳してる時間はねえ。絶対に倒す。んで、ダンジョン探索者になる」


「ふん、そうだな。ダンジョン探索者になってハーレムを築き上げる」


 本当、そのために試験を受けるとかこいつすげえな。


 などと、関心した。


 そして、試験官の説明が終わると、スクリーンに三つの受験番号で一つの塊となったものが表示された。

 

「この受験番号がチームとなる」


 俺のチームは、『212』と『422』だった。


 ん、『212』……。


「なあ、佐藤」


「俺も聞きたいことがある」


「「お前、何番だ!?」」


 口を揃えてそう言った。


 すぐにお互いの受験番号を言った。


「『315』」


「『212』」


 なんと、佐藤とチームのようだ。


「足引っ張んなよ」


「お前こそな。俺はお前みてえな生半可な理由でダンジョン探索者を目指してねえ」


「生半可? バカ言え、俺は本気だ。ハーレムを作る!!」


 やれやれ、と俺は呆れる。


 けど、なんだかこいつとなら合格できそうだという、謎の自信があった。


「お前、特質なんだよ」


「俺は手から弾丸を放てる【指鉄砲フィンガーバレット】だ」


 へえ、なかなか面白そうな特質だな。


「そういうお前は?」


「俺は手に持った物を性質そのままで剣に変えられる【変形生成剣ザ・ブレイブ】だ」


 佐藤はニヤリと微笑み。


「いけそうだな、俺たち」


「俺もそう思った。あとはもう一人次第だな」


 全92組(会場はここだけじゃないし、全体で言うと多分500組くらいある)チームメンバーを集めるために列になった。

 俺と佐藤は第65組として列に並ぶ。


「あなたたち二人が65組のメンバー?」


 俺たちの目の前に現れたのはツインテールの女子だった。


 一瞬にして、佐藤は鼻の下を伸ばし、


「そ、そうです。初めまして、俺は砂糖より甘い佐藤空です、よろしく」


 だから、なんだよそのキモい自己紹介。

 なんも面白くもねえよ。


「あたしは凛。よろしく」


「俺は龍一だ」


 凛は腕を組み、俺と佐藤を見る。


「あんたたち、あまり強そうに見えないけど大丈夫かしら」


「「は!?」」


 俺と佐藤は口を揃えてそう言うと、凛は他グループを指差した。


 見ると、凛の指差すのはムキムキな男性だった。


「あーいう人と組みたかったなー。最悪、完全に運ゲーじゃん。また受けなきゃなんですけどー」


 舐めてる。

 こいつ、舐めてやがる。


 俺は怒りの感情を抑えながら、笑顔で、


「あの、お姉さん? 見た目だけで人を判断しないでくださいよ。俺、めちゃくちゃ自信あるんですよねー」


「はいはい。自信だけじゃどーにもならねー」


 あー、ぶっ飛ばしたい。


「って言っても、私の特質は【蜘蛛の糸スパイダーライフ】って言って、手から糸を出す能力だから、完全に援護向けだけど」


 スパ○ダーマンみたいな特質だ。

 けど、確かに前衛向けではないな。


「まっ、もうどうにもならないんだからこのメンバーで頑張るしかないわね」


「ああ、そうだ。やるぞ。な、佐藤!!」


「当たり前だ」



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