【AI怪談 十三話目〈透明人間〉 慎也】

その男は二百メートルを優に超えていた。


なのに誰も気にしない。


いや、誰にも見えてない透明人間。


男はまだまだズンズンと成長している。


こうしている間にもズンズン伸びている。


なのに誰も気づかない。


町中なのに、誰も気に止めようとしない透明人間。


見えてない。


見ようとしない。


男が死んでから、かなりの時間が経っている為だろうか。


死んでるから、こんなにズンズン成長しているのに。


もう三百メートルを超えた。


やがて天に届く透明人間。


届くまでに誰かに気づいてもらえるのだろうか。


街ゆく半透明人間達は、ずっと自分の社会しか見ていない。


見ようとしない。


それは半透明人間だから。


やがて自分達が死んだ時、透明人間の存在に気づき、自分達もズンズン成長して、ズンズン巨大化するのに気づくのだろう。

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