自動運転社会の片隅で嗤う-未来の明暗は

鈴木ライト

はじめに ニッポンの今

 西暦2038年、クルマの自動運転システムが実用化された。通信網の高度利用と人車分離を実施しての実用化となる。

 主人公イスルギショウジはクポタユカという女性と交際している。

 この時代、日本ではベーシックインカム制度が本格運用を開始した。自己実現、向上心、労働の意義の認識などをしたい者はそのまま就業していた。それ以外の、労働に対する確たる意義を見出せない者、もともと働くのが好きではない者は給付をあまんじて受け入れている。

 ベーシックインカム制度の実現にはAIによる社会改革が必須である。それまで人の手で行っていた労務作業を可能な限りAI制御によるロボットたちが担う。今やAIと人との就業比率は62対38となっている。現時点では38の割合の方は人手が足りている。つまり従来の就業希望者が若干上回っている。

 イスルギの働いていた業界は創造性を必要とする分野のため、引き続き就業していた。AI技術が進歩しても、創造性を要する芸術分野、人の心を分析するカウンセラーなどの分野は人には到底及ばない。

 イスルギの就業先は部署によってはリモート就業も可能な職場だったが、彼の配属先は創造性の必要な業界、彼はリモート勤務可能な会議や打ち合わせの時以外は会社に出勤して働く。もともと友人の少ない彼は、なるべく外に出て生身の人間と関係を持つようにしていた。

 実生活では個人用ウェアラブル機器が政府から配布され、徒歩の外出や自動運転車による遠出の時にはナビ代わりになる。

 

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