042
昼になっても次々と送られて来る怪我人から、ようやく最前線の話を聞くことが出来た。
エランコード国の王子を砦に入れるために扉を閉めるのが間に合わなかった様で、外壁の扉が半分開いたまま入口で争っているらしい。
攻城兵器も無く、1万も残っていない奇襲部隊では突破が難しく、
前線部隊も奇襲部隊へ敵が向かわないように押し
そんな
届けさせる部隊の指揮は私に付けた兵士に任せ、私自身は治療を続けていれば良いそうだ。
要するに手柄は十分上げただろう?後は後方で大人しくしていろ。を出来る限り回りくどい文章にしたのだろう、書いた者の苦労が見受けられる。
もう死にかけるような目には会いたくないし、歩いて行って暴れるには砦は遠い。魔力量を気にせずに暇つぶしを続ければいいだけなので私としても文句は無い。
「治療の終わった者と軽症の者を集めろ、魔法で治療して攻城用の武器を最前線に運ばせろとのご命令だ。」
私を護衛してくれていた5人の兵士にも命令書を見せて納得してもらい、行動を開始する。
第一陣は500名ほどを送れるだろうけど、のんびり魔力が回復するのを待っていては何千人も送り出すのは無理なので、第二陣からは200人くらいを目標に送れればいいかな。
戦力バランスを変えられるほどの効果は見込めないし、やっぱり暇つぶしにしかならないと思う。
私が砦まで行って100人斬るか、治療した200人を送るかの違いでしか無いので、それなら安全なこちらで過ごさせてもらおう。
というか馬車を連れた少数の部隊が通れるくらい戦場が安全になってるんだね。敵国の首都まで行く体力はナミルタニア国には無いだろうし、砦を落としたら休戦になると良いな。
昼過ぎに第一陣を、夕暮れ前に第二陣を出発させ。真夜中に最前線のメンケント砦が落ちたと伝令が知らせに来た。
寝ていたのに周囲に知らせるために大声で移動する伝令に起こされてしまったせいで、眠気が吹き飛んだので起きたついでに騒いでいる連中の治療を進めていく。
騒げる体力があるんだから
その日から私の仕事は
砦に
戦に負けた第一王子と捕虜となった第二王子は
少数で金の無い騎士爵から順に帰還する様で、私も帰還許可を貰ったので父達と合流して村へ帰ることになった。置いていかれて一人で帰ることにならずに本当に良かったと思う。
一般兵達や傭兵はその場で報奨を配られてそれぞれ帰っていくのだが貴族や貴族の内定を貰っている者は一時金を貰い、残りを後日王都で国王直々に戴けるらしい。時期的に丁度社交シーズンがあるので、その時に大々的に行われる事になるだろうとの予想だ。
その頃には私も成人しているし、社交シーズンが終わって帰ってきたらそのまま
というか社交!私ドレスなんて持っていないぞ!?今から作っては間に合わないから、レンタルか中古を直す事になるのだけど、私は女性としては背が高めな上にガタイが良い。
貰った報奨金の一部で辺境伯領の店で買って、直すのを母達に泣きつくにしても、私が社交界で着ないといけないのは騎士爵家の妻に相応しいドレスではなく、準男爵家当主に相応しいドレスを買わないといけないので、一時金なんかじゃ全く足りないのでは無いだろうか…
早急にベガルーニ様やオーキンドラフ様に相談しないといけない事が出来てしまった。少なくともこんな馬車の後ろを
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