013
部屋から母が出てくると母の後ろに隠れ、すれ違いざまに頭を
あまり遊べていないけど、同じ様に夜まで帰って来ない父や祖父には懐いているのに私からは逃げるのだ。追いかけてからかっているのがいけないのだろうか?楽しそうにしてるんだけどな、解せぬ。
今日はついに森に入れるらしい。見習い用の汚い革鎧を一式渡され、魔法でキレイにする事を禁止された。
森に入ったとしてもいきなり
村を半周するように森の浅い所を回ると、一度森の外に出る。ほとんど村が見えている様な距離までしか潜っていないのに意外と緊張していたようだ。
一緒に森に入った見習い達も同じ様に肩の力を抜いて、息を大きく吐き出していた。
「まだ油断するのは早いぞ。たまに森の外まで出てくる奴もいるからな、
そう言って今日の指導役でもある、成人したばかりで従士に成り立ての青年、タムルが話しかけてくる。
一度休憩を
先に見つけてきた場所に案内されるだけだが、出来るだけ音を立てない様に、
「来るぞ!」
この森のボアはとても好戦的らしい、縄張りに入った者は発見次第、ウサギだろうがネズミだろうが追いかけ回して追い払うんだそうだ。
今回も風上から近づく私達の匂いを感じ取り
一番前を進んでいたタムルの
続いて私の方へ向かってきたが、怒ったのか速度が上がっている気がする。突進を避けて斧で攻撃したけど、飛びすぎたのか足にかすらせる事しか出来なかった。
次々と目標を変えて突っ込んで来るボアに、他の見習い達も中々攻撃が上手く当てられないようだ。結局、最初に深手を負わせたのは盾と片手剣を持った3つ年上のケニーだった。
盾でボアの突進を右へ流し、すれ違いざまに首筋を切りつけていた。力が足りなかったのか
血を流しながらも走り続けるボアの後ろ足に、ゲルターク様が槍を突き刺して、動けなくなった所を私が首の傷を広げて、初の魔物討伐を成功させることが出来た。
「よくやった、だがまだ終わりじゃないぞ。早く解体しないと味が落ちるぞ。」
遠くで私達を囲いながらヤジを飛ばしていた大人達が集まって来て、祖父が声をかけてくる。
タムルが指示を出し、後ろ脚を縛ると、頭を下にして木に吊るし、喉を
血が出て来なくなったら、腹を開いて穴を掘って内臓を捨てる。皮は村に戻ってからゆっくりと
村でもよく木の板に、
「今日のボアは若いオスだ、大きなものだと3倍以上の大きさになるものもいるし、強いオスは複数のメスを囲っていて非常に危険だ。
たとえ1匹に見えてもボアの子供と牙の無いメスには十分に気をつけろ、奴らは鼻がいいから怒らせるとしつこいぞ。」
解体したボアを順番に持ちながら祖父からボアについての注意を受ける。戦い方も指摘され、私も避ける時にあんなに大きく飛ばなかったなら、あそこで倒せていたのになぁとため息を吐かれた。
ゲルターク様の突進より遅かったけど、実際に向かい合ってみると盾とは違い牙が刺さりそうで怖がってしまったんだ。タムルのように綺麗に躱すには
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