陽気で庶民なお嬢様
@sushi
第1話
うちの高校には全日本国民が知っているであろう水城グループの一人娘であるお嬢様がいる。
名を水城雪奈という。
もっとも彼女は周りにその事を言っておらず、そんな良いところのお嬢様だと知っているのは中学校も同じだった俺くらいだが。
さらに彼女は世間一般的なお嬢様像とかけ離れすぎていて誰も彼女をそんな風には認識していない。
せいぜいが顔もスタイルも良く賑やかで人望のあるジャンクフード及びお菓子好きな女の子といったところだろう。
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「俺は今日、告白するぞ!」
「まじ?絶対無理だって」
「止めときなよ」
教室のドアにかけた手を止める。
またあの陽キャどもか。毎度毎度朝っぱらからうるせぇんだよ。
サクッとドアを開けて教室にはいる。
「あっ、伊東やっときた。」
「おう、おはよう。アイツらどうしたの?」
同じ陰キャ仲間の内田が話しかけてきた。
「何か水城さんに告白するらしいよ」
「本人も誰かと付き合う気無いって言ってるし無理じゃね?」
「それにどうも惚れたとかじゃなくて顔が良いかららしいよ。」
終わってんなぁ。相手にめされずに終わるぞアイツ。
「伊東は水城さんのことどう思ってるの?
男子の中で一番仲良いみたいだけど。」
「水城は性格ひねくれてるから相手するのは大変だろ「誰の性格がひねくれてるって?」うな。」
頭を思いっきり握られる。
ちょ、まっ、ギシギシ鳴ってる。
「ギブキブギブギブ!頭骨砕ける。」
「ふん。」
いってぇなー。死ぬかと思ったわ。犯人をジト目で見つめる。
「何?もっとされたかった?」
「いえいえ、滅相も無い。本日も大変お目麗しいことで。」
「その切り替えの速さすごいわね。」
多分誉められてないんだろうな。
「じゃあ。授業始まるから。」
「……おっかないね。」
「……そうだな。」
内田と目を合わせて感想を共有した。
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ヴヴ!
ゆきな:今日ゲーセン行くから付き合って
スマホが振動したと思ったらこれか。
今授業中だぞ
自分:金欠だから無理
ゆきな:お父さんが一人で行くなって言うから。
まぁお嬢様となればそんなものか。
自分:お前の友達誘えば?
ゆきな:みんな真面目でゲーセン一緒に行ってく
れないんだもん!
自分:だもん!じゃねーよ。
金がないから無理
ゆきな:何で今回はダメなの?今まで付き合って
くれてたじゃん。
自分:仕方ないな。付き合ってやるけど金無いか
らただついていくだけな。
ゆきな:やったー!ありがとう。
「はい、じゃあここの寡聞の意味を…、水城さん、お願いします。」
「は、はい?」
「寡聞の意味をお願いします。」
やーい、あたふたしてやんの。
仕方無い、助け船を出してやるか。
自分:知識がないことを謙遜して言うこと。
俺のメッセージに気づいたのだろう。
「ち、知識がないことを謙遜して言うこと。」
「まぁ、大体あってます。座って良いですよ。」
ゆきな:助かった。ありがとう。
自分:授業中にこういうのは止めろよ。
ゆきな:…はーい。
自分:そういや陽キャの誰かが今日お前に告ると
か言ってたぞ。
ゆきな:いや、誰よ。
自分:知らん。
ゆきな:で、何?どうしてほしいの?
「きりーつ、礼、ありがとうございました。」
こうしている間に授業が終わった。
自分:お前の好きなようにしたら?
ゆきな:本当は断って欲しいくせに。
自分:誰もそんなことは言ってない。
水城と目が合う。 すっごいにやにやしてた。
「雪奈、どうしたの?にやにやして。」
「んー?なんでもー。」
ゆきな:学校が終わったら制服から着替えて
いつものゲーセンに集合ね。
自分:了解
ゆきな:ちゃんと断ってあげるから安心してね。
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