夢幻想武勇伝~幼なじみが、おじさんにとられそうですSOS!~

なばば☆

プロローグ

「………誰だ」


 夕食ゆうげも終わり、まどろみながら書物を読み更けていた男。

 南町奉行オーオカは、奇妙な感覚をおぼえて天井を見る。


「わたくしです」


 鼠小僧が、天井からフワりと降りてきて、ブレイクダンスを踊る。


「ああ。今宵はお前の気配ではない、なにか不思議な気配がするのだ」


 やっと、生類あわれみの令をとなえていた将軍から変わったというのに。


「Yo! 見回りを、いたしましょうか?」


 畳の上で、反復横とびをする鼠小僧。

 いつも、天井裏で息を殺している反動で、動かずにはいられない。


「いいや。こんな夜は動かぬ方がよい」


 おぼろ月夜を、まぶしそうに見るオーオカ。


「さようで」

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