第11話 決断

浴室でバスタブに浸かり身体をほぐす

膝の痛みを少しでも柔らげるためでもある。

私は現場で暴れられるほど丈夫な身体を保てない事を思い知り壁を殴った。

音が激しいのか、脱衣所から千理が話しかけてきた。

「葵ちゃん…大丈夫?」

「生きてる」

「葵ちゃん…私が葵ちゃんの私の目となり手となるよ」

「ふざけるな!!!」


私は浴室を開け千理へ掴みかかった

膝の痛みは私を苦しめ千理の肩に埋もれそうになったが強く掴み何事もないように貫く


「自ら悪魔こっちに来るのとそうならざる負えないとでは訳が違う!」

「葵ちゃんの膝のほうが私にとっては心配だよ?立てなくなるかも知れないんだよ!」

「世の中にはね何を犠牲にしてでも守りたいもの守らなきゃいけない事があるんだ」

「自分の身体より守りたいものって何?損なのないよ!!!」

「人の笑顔。友達やその家族は守らなきゃ駄目だろ」

「自分を犠牲にしてまで守ってもらうなんてそんなの友達じゃない!!!!」

「これは葵の負けだな」


千理の後ろにいる師匠の言葉で私達の押し問答は止まった


「随分うるさいから出てきたじゃねーか。

葵たしかにお前の言い分は分かる。巻き込みたくないって思いもこの世界に入ったらどうなるかお前が1番よく分かってる。よく分かってるからこそお前がこの世界に沼らないよう面倒を見ればいい。それだけの話だ」

「ですがその結果!」

「その結果なんだ?あぁ?じゃあお前がこいつを殺すか?」


凍えた目で私を睨みつけてきた。

決断の時である。一晩だけであるが私に尽くした千理を殺せるか?群れなんて作らなくていいと思った私を悪魔のように人を殺しまくった私を友達と言った千理にとどめを刺せるか?

千理はまっすぐ私の目を見て放った言葉に私は決断をした。


「葵ちゃんになら殺されてもいいよ。ウンウン違う。葵ちゃんにしか殺されたくない。お金は払えないけど私自身を私の命を葵ちゃんにあげる。」


間を開けて私は聞いた


「……後悔は?」

「しない。」

「人を殺す事に沼らない?」

「沼ったと思ったら殺していい」

「分かった。契約成立。師匠ピアッサー」

「もうある。」

「失礼」


私は千理の耳にピアスを開ける事で契約とした。別にしなくても良かったがピアスがある方が千理に華が出ると思い開けた。


「…クシュン」


寒い。季節はなんだかんだで冬。地獄を経験してるからと言って寒さを感じないわけじゃない

全裸で長時間話し合えば私でも流石に堪えた


「葵。湯冷めする前に上がるか入り直せ」

「入り直す。」

「一緒に入っても?」

「好きにすれば?」


なんだかんだ千理はいつも私の風呂に突撃してきた。明日から千理いぬの世話が始まる。もう二度と失敗をしないよう頬を叩き気持ちの入れ替えをした。


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