第8話 帰る場所
千理の親は私に向かって問う
「もう行かれるんですか?」
「えぇ。これ以上この家族に迷惑をかけるわけには行きません。折角関係向上の1歩を踏み出せたんです。私のような外野はこれ以上踏み込めません。」
「どうしてもですか?」
「どうしてもです。」
「最後に1つだけお願いを聞いてもらえないでしょうか」
「いいですよ」
少し間を開け何かを躊躇っていた顔は覚悟を決めた顔になる。
「貴方はお金を払えば何でもやってくれるんですよね」
「ケースバイケースです。何でもやるわけではありません。」
「私達の娘を貴方に預ける事は?」
「条件付きであれば可能です。」
なぜ私に預けるかは大体の検討はつくがそれができるものは極少数。自分達が愛情をかけた娘とほぼ永遠の別れに等しい事をこの親は言っている。
千理は状況についていけず開いた口が塞がらなかった
「どういう事?パパ。ママ」
「千理。私を衣笠家全体に迷惑がかかる。ううん…迷惑どころじゃない親だけじゃない千理も殺されるくらいにはやばいってことこの街にもマフィアのような連中が来るのも時間の問題。私を匿ったとなれば口を割らす為に何をするか分からないのがそのテレビに写ってるクソガキってわけ。言いたいことは分かる?」
「パパもママも私だけでも生きろって言いたいの!?ねぇぇ!!!答えて!!!」
泣きながら父親の胸ぐらを掴み問いかける
「千理!!衣笠家の家訓は?」
父親は千理の肩を掴み問いかけた
「こんな時になに!!感謝と恩返しがなに!なんなの!!!死ぬっていうのを私は奏のときに見た!!!もう嫌なの!!!!ねぇお願いパパママ考え直してよ」
千理は親にしがみつく、私は黙って見ていることしかできなかった。私が来たことによって回復してきた関係は崩れそうになる。千理は藁にもすがる思いで私にしがみついた
「葵ちゃん。お願い助けてよ。考え直すように一緒に言って」
苦肉の策ではあるが長い時間匿えないが
提案をしてみることにした。それが私の条件である。
「スマホと車を貸して下さい。私についてきてください」
「葵ちゃんこんな時に…」
銃声が街中…この家に向かって響いた。
いくつかの穴が部屋に開く。
「伏せて!!!!」
千理の親、千理の無事を確認する。ポンコツエイムなら対して意味はないが
持ってるのは拳銃なんかではない、軍御用達のゴツいやつ。
あいつらにバレるのは時間の問題だとは思ったが早かった。
「お姉さんみーつけた。」
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